フランスのキノコの王様はやっぱりセープ茸。

 朝市のキノコ屋さんでセープ茸が並んでいた。モリーユ茸、ジロール茸と並んで、フランス人が大好きなキノコだけにキロ28ユーロ。好きなものを選んでいいというので、傘が傷んでなく、裏のスポンジ状のところがまだ白くて密なものを4本選んだら約600グラムあった。
 アラン・デュカスのレシピには、ココット鍋にクリの葉に包んだセープ茸を入れ、オーブンで焼くという、秋の香りにむせそうな素晴らしい一品がある。ただクリの葉を見つけるのは大変だから、8年前に書いたボルドー風を復習してみたい。ただし、今回はさいの目に切ったバスク産生ハムも加えるので、さらにぜいたく! バスク風と名付けました。セープ茸は味わいが濃いから、生ハムの風味にも負けない。
 まずセープ茸をきれいにする作業。といっても石突きのところを切りとってから、軽く湿らせた布巾やクッキングペーパーでぬぐってきれいにするだけ。傘と足を切り離し、足を7ミリくらいの厚さに輪切り。傘の部分も7ミリの厚さに切り分ける。エシャロット、ニンニク、パセリは細かくみじん切りにする。生ハムも7ミリの厚さに切ってもらって買ってきて、さいの目に切り分ける。
 なるべく大きめのフライパンかソトゥーズにオリーブ油をとり、強めの中火にかける。油がすっかり熱くなったらセープ茸の傘と足を同時に加え、生ハムも加え、木のヘラでかき混ぜながら8分ちょっと、水気を飛ばすようにしながら炒めていく。ここでエシャロットとニンニク、それにバターを加え、塩、コショウ。生ハムに塩気があるので、塩は控えめです。火を弱くし、もう3、4分。最後にレモンの搾り汁少々を振りかけ、パセリを散らせばでき上がりだ。
 ニンニクの香りとかすかに粘りが出たセープ茸と生ハムの組み合わせが素晴らしい。キノコにもう少し歯ごたえがほしい人は、炒める時間を短くする。このまま前菜として出してもいいし、ロースビーフなどに付け合わせれば最高だ。
 ワインもやっぱりぜいたくしてサンテミリオンやメドックの赤。(真)
4人分:セープ茸600g、生ハム100g、エシャロット2個、ニンニク2片、オリーブ油大さじ2杯、バター大さじ2杯、パセリ適量、塩、コショウ 

●キノコ狩りの思い出
 つげ義春の短編漫画に、『初茸がり』という名作がある。「あしたは初茸がりに行こう」とおじいちゃんが小学生くらいの正太に声をかける。外はザーザー降り。「初茸はひと雨ごとに大きくなるからな」。夜になって月が顔を出す。「明日寝ぼうしたらつれて行かんぞ」と言われても正太はうれしくて眠れない…。
 ボクも小学校時代、秋になると祖父に連れられて、バスで1時間くらいのところにある山に、キノコ狩りに連れて行ってもらった。ネズミタケや小さなシメジ、それに傘の裏をさわると、さわったところが青緑色になってしまうハツタケ。ときどき、前を横切るヘビの怖さにも負けず、枯れ葉に半分埋もれているハツタケを見つけた時のよろこび! 祖父がにっこり笑ってくれた。そう、炊き込みごはんにしたり味噌汁に入れるととてもうまいからだ。
 アルザスに住んでいた、友人のおとうさんは、夏の終わりに、ヴォージュ山地までキノコ狩りに連れて行ってくれたものだ。お目当てはなんといってもセープ茸。バター炒めしても挽き肉を詰めて焼いても、食べ切れないくらいに採れたりする。そんな時は、お母さんが瓶詰にしてから火を通して保存。それがクリスマスのごちそうの付け合わせに出てくると、ヴォージュの森の匂いまでが戻ってくるようだった。
●セープ茸を和風に
セープ茸は、しめじや松茸同様に和風に調理してもおいしいものです。まず茶碗蒸し。エビの赤、細く小さく切ったサヤインゲンを入れると色がきれい。セープ茸は小さく切って、7分目に蒸し上がった頃にのせます。セープ茸ごはんも最高だ。始めからごはんに混ぜてもいいが、ボクは小さめに切ったセープ茸をあらかじめ歯ごたえが残るように炒め、塩と酒で軽く味を付けておく。米はよく研いでから、塩、酒少量を入れて軽く味をつけ、さらにしょう油を色づけ程度に加えた水で炊き上げる。炊きあがったところで、セープ茸を上にのせて、しばらく蒸らす。


Cèpe à la basquaise



 

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