
国際映画祭にはスターが必要です。今年のスターNo.1は、なんといってもトム・クルーズ!『トップガン』から36年ぶりとなる続編『トップガン ー マーヴェリック』の公開に合わせ、南仏の地に降り立ちました。前回カンヌに参加したのが『遥かなる大地へ』ですから、こちらも30年ぶり。カンヌ映画祭からはクリント・イーストウッドやアラン・ドロン、アニエス・ヴァルダらが受賞した「名誉パルムドール」を授与されました。

現地ではマスター・クラスも開催。冒頭から彼の出演シーンを繋いだ15分を超える長い長いイメージビデオが流されました。「早く出てこ~い!」と誰もが痺れを切らした頃、ようやく本人が颯爽と登場。さすが勿体の付け方もスターです。「本当に生存してるんだな」と感動したのも束の間……、残念ながら彼は筆者からは横顔や背中ばかり見える席に着席したのでした。さて、華麗なアクションで知られるトムですが、やはりスタントに関する質問が飛びました。それに対して、「ジーン・ケリーに『なぜ踊るのか、なぜ歌うのか』とは聞かないでしょう」と、これまた颯爽と答えていたのが印象的です。彼なら嫌味には聞こえません。
同日午後にはレッドカーペット!その頃、筆者は会場近くを歩いていたのですが、いきなり尋常ではない轟音が鳴り響き肝を冷やしましたがが、空を見るとジェット機の一軍が猛スピードで飛んで行きました。仏空軍による「トップガン」への目配せのアクロバット飛行です。慌てて写真を撮ろうと携帯を出しましたが、時すでに遅し。残ったトリコロールの煙だけが撮れました。SNS上では急のアクロバット飛行もばっちり撮れた人が多く、自分の鈍さを実感させられました。


このように大スターの幻だけを見た気分のカンヌですが、現地では裏のスターに会えました。知る人ぞ知る「リベおじさん」です。映画祭期間中にメイン会場パレの前で、毎年「リベ~、リベ~」と声を上げ、リベラシオン紙を売る名物新聞販売員のムッシューです。去年のカンヌでは見かけなかったので気になっていましたが、今年は元気そうな姿が見られました。なぜ去年はいなかったのですか?「去年は7月開催でマスク着用だったからね。声を出すのも大変だからやめたんです。それに2020年は実施されなかったから3年ぶり!」。

彼のお名前は「ジル・マルトリ」さん。カンヌ映画祭に来たら、ぜひ彼からリベラシオンを買ってくださいね。ちなみにジルさんのカンヌ初参加は31年前なので、トム・クルーズより先輩です。(瑞)
