ボクは、エスパス・ジャポンで料理教室やっているのだが、生徒さんは、午前11時開始ということもあり、全員女性、そして主婦の方がほとんどだ。ところが、料理には力が必要な時がある。泡立て器で卵の白身を泡立てる時、ボウルの中でバターと砂糖を混ぜ合わせる時、魚の頭を包丁で落とす時、鉄の鍋を料理ごと運ぶ時など、ボクだって腕がしびれてくるし、包丁が骨に刺さったままにっちもさっちもいかなくなったりする。そんな時は生徒さんに「こういう場合はどんどん旦那さんに手伝ってもらいなさい」とアドバイスすることにしている。
それにしても、友人たちを家に招いた時のフランスの旦那さんたちは、かいがいしい。主婦もテーブルにつかないと、食事が始まらないことになっているから、手伝わないことには、いつまで経っても食事が始まらないという事情もある。
パンを切る。パンが切れていたら小走りで買いに行ったりする。ワインを選んで栓を抜く。食事が始まってからワインを注ぐのも、もちろん彼の役割だ。その注ぎ方には年季が入っている。サラダを混ぜ合わせるのも引き受けたりする。そして、メインの鶏や牛のローストが出てきたりすると、それを切り分けるのも、ずっと男の仕事と決まっている。フォークを突き立てて、よく研いだ包丁で次々と切り分け、友人たちの好みを聞きながら、皿に取り分けていく。こういうすぐれた習慣はどんどん取り入れたいものだ。(真)