マッシュルームを売っている、朝市の露店の前を通ったら、小さめで食べごろのセープ茸(たけ)が並んでいる。「私が採ってきたものです。今シーズンはこれで最後かな。それにしても今年はキノコの当たり年!」と言う。そのセープ茸を300グラム買ってきて、久しぶりにカタ
ルーニャ風肉団子を作ることにした。セープ茸がシーズンオフなら、瓶詰めや、乾燥したものを水で戻して使えばいい。生シイタケやマッシュルームでも、ひと味違うがおいしくできる。
牛の挽き肉と豚の挽き肉をそれぞれ400グラム用意する。 これを大きなボールにとり、割りほぐした卵2 個、できるだけ細かくきざんだエシャロットとニンニクを加えて、塩、コショウ。よく練り合わせたら、直径4センチほどのだんごにし、小麦粉をまぶしてから、油で軽く色がつくまで揚げてからとっておく。
ココットのような厚鍋にオリーブ油をとり、みじん切りにした玉ネギ2個とサイの目に切ったベーコンを炒める。ベーコンは脂身が多めの方が、ソースがコッテリとする。軽く色がついてきたら、小麦粉を振りかけ、よく混ぜ合わせたら、濃縮トマトと水コップ1杯を加えてダマができないように丁寧に混ぜ合わせる。ごく弱火で5分ほど火を通したら、肉だんご、薄く輪切りにしたニンジンを加え、赤ワインと水少々を足して、肉だんごがかぶるようにする。塩、コショウ、粉唐辛子少々を加える。火を強くし沸騰したら、ごく弱火に戻し、フタをして1時間ほど煮込みます。ソースがココットの底にくっつかないように、時々、木のヘラでよく混ぜ合わせること。30分経ったらセープ茸を入れ、煮上がる直前に緑のオリーブを加える。最後に、塩とコショウで味を調えればでき上がり。
付け合わせは、おいしいソースと一緒に味わえるように、ライスか、ゆでジャガ。ワインは、今回のレシピと同地方で造られていて、まろやかな風味のコット・デ・ルシオンの赤がいいだろう。(真)
肉団子(4、5人分):牛の挽き肉400g、豚の挽き肉400g、エシャロット2個、ニンニク2片、卵2個、オリーブ油、塩、コショウ
ソース:玉ネギ2個、ベ−コン100g、小麦粉大さじ2杯、濃縮トマト大さじ2杯、赤ワイン200cc、セープ茸200〜300g、種抜きの緑のオリーブ150g、塩、コショウ、粉唐辛子少々
●豚の挽き肉
フランスの肉屋では、挽き肉器がふつう一つしかないこともあり、衛生上のこともあって、牛肉は挽いてくれるが、豚肉は挽いてくれない。家に挽き肉器がなかったら、中華のスーパーの精肉コーナーに出かけていくしかない。シューマイや餃子の材料として豚の挽き肉が欠かせないから、客たちは、自分の好きな部位(ほとんどが三枚肉)を適量買ってから挽いてもらっている。出かけていくのが面倒なら、近くの肉屋で「chair à saucisse nature」を買ってくる。名前から想像できるように、もともとはソーセージの中身用。かなり脂身が多く、軽く塩してあることが多い。豚肉と違って、牛肉はどこの肉屋でも目の前で挽いてくれる。すでに挽き肉の状態で売られているものは避けたい。とにかく挽き肉は、買ってきたら、できるだけ早く調理。
●セープ茸(たけ)の瓶詰め
セープ茸は乾燥したものも売られているけれど、このキノコ独特の食感を味わうには瓶詰めの方がいい。100グラム当たり5ユーロ前後と少々高いが、すでにゆでてあるので、調理してもかさが減らない。今回のカタルーニャ風肉だんごにも適している食材です。
●double concentré de tomates
煮込み料理にトマト風味を付ける時に、濃縮トマトは、トマトの水煮缶詰と違って煮汁が水っぽくならないので便利。濃縮トマトは、使ってもせいぜい大さじ2杯くらいなので、小さな缶に入って3缶一組で売られていることが多い。少し割り高になるがチューブ入りもある。
●viande de cabri (chevreau)
カリブ海諸島の人々は、子ヤギの肉が大好物。ボクの友人のハイチ人一家は、クリスマスになると、コロンボと呼ばれるカレーにしたり、マリネして下味を付けてから唐揚げにしたりする。うまい! 「乳離れしたすぐ後くらいのcabriがうまいよ」ということだが、この子ヤギの肉、ふつうの肉屋には売っていないから見つけるのが大変だ。