ワーテルゾーイwaterzooïは、「水煮」という意味だ、いや「ごちゃ混ぜの魚を煮た」という意味だ、などと本場のベルギーでも意見が分かれているらしい。名高いゲント風は、川カマス、ウナギ、コイなど主に川魚が入ったものだが、最近は、安価で手軽な鶏肉を使ったワーテルゾーイを出す店が増えている。
鶏は1.8キロくらいの大きめを求め、もも肉、 胸肉、胸肉の一部を付けた手羽先と、合わせて6つに切り分ける。調理を始める2時間前から、残ったガラでスープを用意する(右欄参照)。皮をむいて洗ったニンジン、すじをとったセロリ、よく洗った長ネギ、タマネギは、さいの目に切る。ココット鍋にバターを大さじ2杯とり、弱火で以上の野菜を、色がつかないように10分ほど炒めていく。ここに切り分けた鶏肉を入れ、時々ひっくり返しながら10分ほど炒め、あらかじめ用意しておいたスープを1.5リットルほど加える。ブーケ・ガルニも加え、軽く塩、コショウして味を調える。沸騰するまで中火にし、沸騰したら再び弱火にし、ふたをしてコトコトと、45分ほど煮ていく。
鶏肉だけ取り出し、オーブン皿に入れてホイルで覆い、100度くらいのオーブンに入れて冷めないようにしておく。ココット鍋のブーケ・ガルニを取り出し、強火にし、煮汁が半分になるまで煮詰める。ここで再び弱火にし、別に卵黄2個を丁寧に割りほぐしてから煮汁を大さじ1杯加えて混ぜ合わせたものを、一気に鍋にあけて、泡立て器で勢いよく混ぜ合わせながら、3、4分火を通す。最後にバターを大さじ2杯分、小さく切り分けたものを加えて勢いよく混ぜ合わせればソースのでき上がり。こってりしたソースが好きな人は、液状の生クリームを半カップほど加えてもいい。ボクはレモン半個分の搾り汁も加える。鶏肉をオーブンから出し、塩、コショウで味を調えたソースを上からかけ、みじんに切ったパセリをたっぷり散らす。
付け合わせは、ライスか、柔らかくゆで上げたジャガイモ。ワインは、あまり辛口でない白ワインか軽めの赤。(真)
鶏大きめのもの1羽、ニンジン3本、ネギ白い部分2本分、セロリ2本、タマネギ2個、トリガラのスープ1.5リットル、
卵2個、ブーケ・ガルニ、バター、生クリーム100cc、レモン半個、パセリ半束、塩、コショウ
●bouillon de poulet
今年の3月に出た号にも書いるけれど、ボク流の、作り方も簡単でおいしいトリガラのスープです。ハサミでトリガラをじょきじょきと2つに切り開く。残っている内蔵や血をきれいに取り除いてから、大きめの鍋に入れ、それがかぶるように水を注ぐ。中火にかけ、沸騰してきたら丹念にあくを取ることが大切だ。ブーケガルニ、皮をむいてから輪切りにしたニンジン1本、大きく切り分けたタマネギ1個、セロリの茎1本も入れる。どれか野菜が欠けていてもあまり気にしないこと。ごく軽く塩、コショウし、再沸騰したら弱火に落とし、2時間ほどフタをしないで火を通す。これをこせば、自家製の、インスタントとはちがってくどくないスープのでき上がり。これをベースにさまざまなスープを作ることもできるし、リゾットにも欠かせない!
●waterzooï de cabillaud
ベルギーの港町オステンドで食べた、真ダラを使ったワーテルゾーイも忘れられない。魚屋で真ダラを人数分輪切り(darne)にしてもらって買ってくる。後の作り方は、野菜の下準備も含め、鶏肉の時とほぼ同様。ただ、チキンのスープのかわりに水と白ワインを注ぐ。市販の粉末fumet de poissonを少々加えると味にこくが出る。真ダラは、鶏肉より火の通りがいいので、野菜が柔らかくなった頃に入れます。