フランスの太い長ネギpoireauは、柔らかな甘みが特徴で、みじんに切ってうどんに散らしても薬味にならないが、それはそれ、フランス風にグラタンにしたりすると、おいしく食べられる。今回はヤギのフレッシュチーズを組み合わせて、晩秋らしいグラタンです。
長ネギは、白い部分が少なくとも20センチはあるものを買ってくる。緑の部分を切り取ったら、縦に二つに切り分け、砂や泥が残っていることが多いので、よく洗う。これを柔らかくなるまで、8分ほど塩ゆでする。ざるに上げてから、布巾の上などに並べて水気をしっかりとることが大切です。
あまり大きくない、長方形のオーブン皿にバターを塗り、長ネギを並べる。
このへんで、オーブンの目盛りを180度に合わせて点火しておく。
ボウルに卵、ヤギのフレッシュチーズ、生クリーム、おろしてあるパルメザンチーズ半分を入れ、泡立て器で丁寧に混ぜ合わせる。塩、コショウし、ナツメグ少々をおろし入れて、長ネギを覆う。さらに、残りのパルメザンとパン粉chapelureを混ぜ合わせたものを振りかけて、熱くなっているオーブンへ。
20分ちょっと経って、表面にきれいな焼き色がついたらでき上がり。 アントレでもいいし、アンディーブのサラダなどを添えれば軽い食事。ワインは、シャルドネ種の白ワインかな。
今回のレシピは簡単だからもう一品、定食屋の定番、長ネギのビネグレットソース添えを紹介してみよう。同じように長ネギの下準備をして塩ゆでまでは同じです。上のレシピよりは少し長めに10分ちょっとゆでたほうがおいしいという人もいるだろう。やはり丁寧に水気を切ってから、皿に並べる。ビネグレットソースは、いつも作っているものでいいけれど、マスタードをきかせて、細かくきざんだエシャロットとパセリを混ぜ込むと長ネギに合う。ボクは半熟卵を用意して、殻をとってから二つに切り、それを長ネギで囲んで巣ごもりの形にし、ビネグレットソースをかけて出すことが多い。(真)
ネギ8本、ヤギのフレッシュチーズ150g、生クリーム100cc、卵1個、おろしたパルメザンチーズ50グラム、パン粉、バター、塩、コショウ
●poireau
フランスの太い長ネギは、9月から3月が旬。というのも適度に雨が降るし、寒さがネギを柔らかくしてくれるからだ。白い部分がしっかり締まっていて、ツヤがあるものを選びたい。緑の部分を切り落として(ブーケ・ガルニに使ったり、チキンのダシをとるときに加えたりする)冷蔵庫の野菜ボックスに入れておけば、10日は持つ。カロリーが少なく繊維質に富み、ダイエットにうってつけの野菜だ。白い部分を細かく切り分けてから、ジャガイモと一緒にトリガラのスープで柔らかくなるまで煮て、ミキサーにかけ、生クリームやバターを加えれば、名高いパリ風ポタージュpotage parisien。くたくたっとなるまでバター炒めして、塩、コショウで味を調えれば、魚料理などの付け合わせ。ポトフやポテなどの肉の煮込み料理に欠かせないし、今回のようにグラタンだけでなく、タルトもうまい。
●fromage de chèvre frais
少々酸味があるヤギのフレッシュチーズは、オリーブ油とみじんに切ったシブレットを混ぜ入れて、コショウを挽き入れてから、トーストした田舎パンに塗って味わいたい。サラダのドレッシングに加えたり、ブリックの皮で包んで揚げるのもおすすめ。最近は、生乳ではなく低温殺菌乳を使ったものが増えているので、一年中スーパーで購入できる。
●パルメザンチーズ
パルメザンことパルミジャーノ・レジアーノParmigianno Reggianoは、パルム、レッジョ・エミリア、モデナなどで作られているハードタイプの名チーズ。最低12カ月熟成されるが、12カ月の時点で厳重な検査を受けて、合格したものだけに刻印が押される。おろしてパスタに振りかけることが多いが、20カ月以上熟成されたものをそのまま噛みしめると、濃い牛乳やバターの風味が広がる。どこかハシバミやナツメグの香り。グラナ・パダーノGrana Padano はパルミジャーノ・レジアーノと近い製造法で最低9カ月熟成される。外見は似ているが、フルーティさは少なめでこわれやすい。でも割安。スーパーで売られている袋入りのおろしチーズはグラナ・パダーノが多い。