イラン料理と聞いてどんな料理が思い浮ぶだろうか。自身のコミックスが原作のマルジャン・サトラピの映画を観た人は、そのタイトル、鶏肉のプラム煮と答えるかもしれない。主人公のバイオリン弾きの大好物として登場するこの料理、じつは私も一度食べてみたいと思っていたのだが、ようやくそれがかなった。
ミッテラン国立図書館や東洋言語研究所が近くにあり、昼には学生たちが多くやってくる。日替わりの1品10.50€。これに前菜かデザートを追加しても13.5€と、リーズナブルに典型的なイラン料理が試せるのが人気の理由。ゆったり食事を楽しみたいならやはり夜に訪れたいが、夜の営業は木金土のみなのでご注意を。
さて、イランで幼少時を過ごした友人と夕方に訪れてみた。前菜には、盛り合わせ(1人前7€/2 人前12€)をチョイス。4つあるうち、トマト風味の焼きナスのペーストと、鶏肉やピクルスの細片が入ったポテトサラダが特に気に入った。友人がメインに選んだChelo-Kebab Saltani(18€)は、2種のケバブがサフランライスにのり、トマトのグリルと生のまんまのタマネギ1/2個が添えられた豪快な料理。「これだよな」と友人はご満悦。鶏のプラム煮(13€)のほうは、単純な煮込み料理のようでいて、じつに深みのある味。やさしい甘さはプラムだけでなく、タマネギによるところも大きい。料理のお供にピシェで頼んだロゼ(12€/46cl)もするすると飲めるワインで、初めてでもどこか懐かしさがある料理を大いに楽しんだ。
デザートにはイラン風アイスクリーム(5.5€)を頼みたい。 サフランとローズ風味のアイスでピスタチオ入り。友人は「子供の頃を思い出す」とまたまた目頭を熱くしているし、意外にさっぱりとした味わいなので、食後にぴったりなのだ。
前菜、メイン、デザート、ワインとすべてにポイントが高く、店のマダム、エレーヌさんのフレンドリーな応対にさらに嬉しくなる。イラン料理にぐっと親近感が深まります。(里)
Norouz
Adresse : 48 rue du Dessous des Berges, 75013 parisTEL : 01.4584.2948
月~金12h-14h30、木~土は19h30-22h30もあり。日休。