「公平」な年金制改正法案?

 1995、2003、2008、2010年と数年毎に各内閣が挑んできた年金制改正だが、オランド政権も何もせずにはすまされず、8月27日、エロー首相が改正案を発表。国会審議は10 月7 日から。
 年金の年間総支給額2500億ユーロという膨大な額に対し、2011年度の赤字は100億ユーロ、9年後の2020年には210億ユーロに増大する。 
 戦後ベビーブーム世代が退職年齢に達し、2000年に65 歳以上が人口の14.4 %占めていたのが、2030年には24.6%と急増し、4人に1 人が年金生活者となる。日本と並ぶ平均寿命も 1946年に男性60歳/女性65.2歳だったのが、2010年には78歳/84.7歳に。現在の年金額は平均1590€(女性は約1000€)で、就労者の平均給与1735€との差は9%(例  : スペイン17%、英国 20%、デンマーク28%)で、フランスは欧州連合の中で年金生活者に最も寛大だ。また就労不適格者や低所得層(11年度年収8907€/夫婦14 181€未満)には払込年数に関係なく60〜65歳から老齢年金(777€ /夫婦1182€)を支給。
 オランド大統領、エロー首相とも年金赤字の解消策として、一般社会保障負担金(CSG : 1991年ロカール首相が制定)の引き上げを考えていたが、一般市民の「増税はもうたくさん」の怒りの声が強かったのと、企業側の批判を避けるためCSGの増税案を引っ込める。その代わりに年金保険料の負担率を企業・被雇用者とも2017年までに0.3%引き上げることに。9 月10日の抗議デモにフランス学生連盟UNEFも参加し、反対の声を上げた。以下は年金制改正案のいくつか。
●年金保険払込期間の延長(2020年から施行)
 定年60歳(2017年からは62歳)を維持するが、保険払込期間を3年毎に四半期分(3 カ月)ずつ延ばし、2020年からは満額年金を得るには41.75年、2035年(1973年生まれ)からは43年に延長。
●労働の苦痛度を考慮
 商品・貨物などを取り扱う重労働や夜勤、化学物質・騒音など健康を害する業務、無理な姿勢などの苦痛度により、ある一定期間を研修休暇やパート勤務に変換し、早期退職を可能にする。
●産休を勤務期間として計算
 2014年1 月から産休90日間を四半期とみなし、複数の産休も同様に払込期間から差し引く。また3人以上の子持ちの父親の年金に10%加算されてきたのを廃止し、2020年からは母親の年金に最初の子供も含めてその増額の対象にする。
●パートタイム
 いままでは最低給与SMICの1.5倍未満のパート職200 時間を四半期とみなしたが、勤務時間を150時間に下げ、学生のバイトにも適用。
●保険払込期間の追納
 高等教育を受けた後の就職年齢が23〜27歳となっており、満額年金を得るのは70歳前後。そこで学業終了後5〜10年以内に4四半期まで追加納入できるようにする。養成や研修期間も52日間につき四半期と計算される。さらに2014年からは長期失業や病欠期間も2四半期とみなす。
 「公平」な年金制改正というが、定年54-58歳の公務員(最終6カ月の給与で算出)と、民間(25年間の高額給与が基準)とのあまりにも大きい格差には、政府は当たらず触らずに逃げ切る。(君)

 

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