寒い時は、野菜のポタージュがおいしい。それも自分で作ったトリガラのブイヨンを使えば、ちょっと自慢できるポタージュになる。オニオンスープにも、こんなブイヨンをベースにすればプロの味。ボクは、行きつけの鳥肉屋でトリを一羽買って、モモ、手羽、胸肉と骨から切り離してもらえば、ガラが一羽分。ダシのよく出る首肉や足、時にはガラをもう一つもらって帰ってたくさん作り、残りは冷凍してしまう。スーパーで一羽買ってきたら、自分でさばいてガラを取り出さなければならない。安い手羽先を買ってきて、一つか二つ加えれば、さらに味が濃くなる。トリガラのアバラ骨の真ん中のところを料理ばさみで、じょきじょきと切って縦に二つに分け、ガラの内側についている血をきれいに洗うのが最初の作業だ。
ニンジンは洗って皮をむく。セロリと長ネギの白い部分もよく洗う。いずれも切り分ける必要はない。タマネギは皮をむいてから丁字を差し込む。ブーケ・ガルニも用意する。
深めの大鍋にトリガラを加え、ひたひたに水を張り、中火にかける。沸騰したら火を止め、表面に浮いているアクを網じゃくしécumoireを使って、何回かにわたって丹念にアクをとる。そのたびに網じゃくしを、ボウルに入れた水でゆすいでは同じ作業を繰り返すこと。おいしいダシの秘けつは、アク、脂を丁寧に取ることだ。
ここで野菜全部とブーケ・ガルニを加え、水を1リットル足す。塩大さじ半杯とコショウ10粒も入れ、中火にかける。沸騰したら弱火にし、もう一度丁寧にアクをとり、ふたをして1時間半火を通す。 これを静かにこせばブイヨンのでき上がりだが、さらに冷たいところに一晩置いて、表面に浮かんできた脂を、クッキングペーパーに吸わせてのぞけば、もっと澄んだスープになる。でも野菜のポタージュの素にするのなら、脂が少し残っているくらいがおいしい。こんな面倒までしてポタージュ? とためらう人は、固形の〈bouillon de volaille〉を、4人分で1個、加えればいい。ブイヨンに使ったガラに付いている肉は、少々うまみがなくなっているけれど、サラダにでも入れましょう。(真)
4、5人分:トリガラ1羽分、ニンジン1本、タマネギ1個、長ネギ1本、丁字1本、セロリの茎1本、ブーケ・ガルニ、塩、コショウ
●チキンのさばき
チキンはふつう、もも肉2、胸肉2、胸肉を少し付けた手羽肉2と六つに切り分ける。小さいチキンの時は、もも肉2、手羽付きのもも肉2の四つになる。まず、背中の尻の方にあるsot-l’y-laisse(「バカは残してしまう」といわれるおいしく小さな肉のかたまり)を、包丁の先で半分ほど切り出す。今度は胸を上にし、もも肉にそって包丁をすべらすように入れて、関節のところでsot-l’y-laisseがついてくるように切り離す手羽肉は、胸肉が少々つくようにして切り離す。胸肉を軟骨にそって包丁を入れながら切り出す。もも肉があまりに大きい時は、もも肉の真ん中にある関節のところで切り離す。これだと全体が八つになる。
●ブーケ・ガルニの作り方
ブイヨン作りや煮込み料理に欠かせないブーケ・ガルニを作ってみよう。長ネギの白い部分を10センチくらいの長さに切る。縦に切れ目を入れて、芯の部分をとりのぞく。そのすき間に、パセリ少々、タイム2枝、ローリエの葉1枚を詰め、料理用の糸で、ネギの切り口がしまるようにして結ぶ。料理によってはセロリひと茎もくわえるが、その場合は、茎をネギと同じ長さに切り、最後にネギの切り口にふたをするようにして置いてから糸でしばる。最後にネギからはみ出ているパセリの葉や茎を切り落とす。