夜中まで食事ができないことは多い。特に仕事でパリを訪れる友人たちは、夜遅くまで空腹を抱えたまま仕事に打ち込んでいる。そんな友人たちを連れて行って喜ばれるのがここ、ル・タンブール。おいしいお肉が自慢のビストロ定番料理がラインナップ。古いバス停やメトロの案内看板が飾られた店内は、観光客も多いけれど、深夜でも活気にあふれ、疲れた心を元気にしてくれる。それもそのはず、このお店はかつてパリ中央市場がレアールにあった当時から市場で働く人たちの強い味方なのだ。
ご存知のようにパリ中央市場の歴史は古く、ノートルダム大聖堂の建設開始よりも前の1135年に起源を発し、18世紀に建築家カミュ・ド・メジエールが小麦市場(現・証券取引所)を建設して以来、「パリの胃袋」と呼ばれる機能を確立し、19世紀に建築家ヴィクトール・バルタールとエクトール・オローによる鉄骨造りの名建築が建てられて、名実共に商業の中心地となった。1969年に中央市場はランジスに移転することになったが、このバルタールらによる名建築は、パリ西部郊外にパヴィヨン・バルタール(12 av. Victor Hugo 94130 Nogent-sur-Marne)として保存されている。またその一部は横浜の港の見える丘公園のフランス山にも保存されている。
そして、いよいよ本格化するフォーラム・デ・アールの再構築は、アンドレ・シトロエン公園の建築などで知られるパトリック・ベルジェと、ジャック・アンジウッティによる期待の新建築。
レアール地区の時代が移り変わっても、いつもと変わらぬ活気で迎えてくれるこの店は我々の強い味方だ。(高)
Le Tambour
Adresse : 41 rue Montmartre, 75002 parisTEL : 01.4233.0690
12h-4h。無休。