ブルゴーニュ地方の入り口、ヨンヌ県にある町がサンス。数年前、ここの友人の家でスーマントラン sousmaintrainというチーズに出会った。「まだAOCに指定されていないから、なかなかパリでは食べられないだろう」と友人は胸を張る。
やはりブルゴーニュ地方の、名高いエポワース同様、ウォッシュタイプならではの強い香りとまろやかなクリーム色の身がかもし出す独特の味わい…、一度味わったら忘れられない! ゴシック建築の傑作の一つといわれるサンテチエンヌ大聖堂の見学も兼ね、その幻のチーズを求め、サンスの町に舞い戻ることにした。(真)
◆Paris Bercyから急行で54分。1時間に約1本。片道18.4€。駅を出たらまずヨンヌ橋を目指し、それを渡ってGrande Rueを真っ直ぐ、Rue de la Républiqueと交差したら左に曲がり数分歩けば市場です。
◆Office de tourisme(観光局):
Place Jean-Jaurès 89100 Sens 03.8665.1949
友人のおすすめは〈Ferme de Leclere〉のスーマントランだが、それを売っている店はあいにくお休み。これは〈Val d’Auré〉のもの。とてもおいしかった!
● Sensの市場
大聖堂に面して、1882年にオープンした、鉄骨、ガラス、レンガの組み合わせが美しい市場がある。天井のガラス窓から光が入る広々としたスペースに、肉屋、思ったよりずっと活きのいい魚を置いた魚屋、近郊で採れた野菜や果物が溢れる八百屋…。天下の白ワイン、シャブリの醸造元直売店もある。スーマントランは、この市場のチーズ屋で手に入れた。市場の裏手にあるCafé-tabacは、買い物かごを持ったおばさん、おじさんでにぎわっている。
Place de la République
月午前と午後、金・土午前中のみ。
● パリのノートルダム大聖堂に負けない
水かさを増したヨンヌ川。早い流れにも負けず白鳥の群れが泳いでいる。楕円形をしたサンスの中心部に、1992年にユネスコの世界遺産に指定された壮大なサンテチエンヌ大聖堂がある。駅から歩いて15分ほど。ステンドグラスの光が柱や身廊に落ちて美しい。隣りにサンス美術館やPalais Synodal、短時間の観光には便利。
●Au Cr i eur de vin
トロワに同名のビストロがあるが、まったく別経営。友人のすすめで出かけたら地元の食いしん坊でいっぱい。アントレ+メイン+チーズまたはデザートで24.9€のコースをとった。前菜に海の幸のクランブル(くだいたピーナッツがクランブルもどきになっている)。メインはホロホロチョウの胸肉のロースト(写真)。ワインリストにはブルゴーニュの名酒が並び迷うところだが、主人が2009年のChitry の赤(1本25€)を選んでくれた。チーズにはNuit-St-Georgesという、やはりくさくておいしいチーズがあった。