「Je suis trempé(e) comme une soupe! (雨に降られて)スープみたいにびしょ濡れだ!」って、よく使う表現だけど、スープは濡れなくても液体なのに何か変。実はもともとスープとは、浸して食べるために薄く切ったパンのこと。何に浸すかって、ポタージュなのだけど、今でいうクリーミィなスープのことじゃなく、元は鍋で煮込んでドロドロになった料理の総称がポタージュだったのだ。だからこの表現は文字どおり直訳すると、「煮込みに浸したパン切れみたいにずぶ濡れ」っていうのが正解。さらに古く中世には、ポタージュは皿には注がれず、テーブルにじかに置かれたブロック大のパン切れに鍋から直接注がれ、そのびしゃびしゃのパンを食べたというから、なんとも豪快。いつの時代もパンはtrempéになる運命なのですな。(み)