娘のクラスに付いて、学校の周辺を午後散策する機会に恵まれた。以前「子供は意外に散歩が苦手」と書いたことがあるけれど、友だちと一緒、しかも自分たちの地区の、歴史や道、建物の由来などがクイズになったシートに書き込みをしながらの散歩ならば話は違ってくる。
シートには親も答えを書き込まなければならないが、子供たちはこちらに考える余裕を与えてはくれない。「マダム(私のこと)! 教会のfrontonとは何ですか?」。えーっ、fronton? 常に辞書を持たずに歩いている自分を久しぶりに悔いた。するとすかさず別の親が「frontonは、扉の上、軒先の装飾部分のことよ」と私に助け舟を出してくれる。「昔はパリのことをどう呼んだか?」。ふーっ、これなら私にもわかる。答えはリュテス。「フランスの初代の王の妻の名前は? 次に曲がる通りの名前がヒント」。28人の子供たちはいっせいに走り出す。答えは「クロチルド!」そういえばトリュフォーの『大人はわかってくれない』の1シーンで校外の体育の授業で子供たちが一人、また一人と逃げ出したよなぁ…と思い出しながら、列からわざと遅れて歩く子供たちに目を配りながらの3時間にはさすがにへとへと。
こんな散策のコースならば自分でも作れるぞ、とアイデアが浮かぶ。そういえば家にはパリの通りの歴史が書かれている『Connaissance du vieux Paris(Ed. Princesse)』や『Copain de Paris(Ed. Milan jeunesse)』などがある。コピーした地図に質問を用意(答えも忘れずに)して、まずは馴染みの地区の散策から、少しずつ範囲を広げていこう。夏休みももうすぐ。娘の友だちを誘って探検ツアーを組んでみようかな。(海)