ポンピドゥ・センターの近くの路地にひっそりとある人形博物館に娘と出かけた。ここは14年前から存在し、19世紀の始めから20世紀半ばまでの人形たちがテーマ別、時代別に展示されている。
木、エナメルをかけた磁器、素焼きの磁器、セルロイド、布、紙と人形の素材にもいろいろ種類がある。かつての人形とは子供たちに大人の世界を学ばせるために存在した。つまり抱っこするのではなく、市場、居間、散歩などの生活シーンを再現し鑑賞させるためにあった。第二帝政時代、1860年代にベビーブームが起こり、人形産業は繁栄期を迎える。着せ替え人形が登場したのもこの時代。そして声を出したり、目を閉じたりする「赤ちゃん」人形が1875年ごろ登場し、いよいよ少女たちの身近な存在となる。等身大の人形もある。説明によると、このタイプは豪華な贈答品として利用されたが、子供には重すぎたため、部屋の一隅に飾られるか、またはタンスの奥にしまわれるかのどちらかだったそう…。たしかにもらった人は迷惑するだろう。
あまりなじみのない顔をした人形の中にとても懐かしい顔を見つけた。それは1908年にアメリカ人ローズ・オネイルという女性が考案し、ドイツで生産されたキューピー人形。世界中を旅して日本では食品メーカーの名前にまでなってしまったほどポピュラーな人形です。バービー人形の特別展は、来年3月末からで、娘はちょっとがっかり。受付の女性に「子供向けに毎週水曜日(休暇中は火水木)11時にワークショップを開いているのでまたおいでね」と慰められ、顔を輝かせた。(海)
Musée de la Poupée : Impasse Berthaud 3e 01.4272.7311 10h-18h。月休。7e/3e。