Filets de harengs marines a l’huile
ノルウェーやアイルランド近海で獲れるニシンは、1月くらいまで、卵や白子が入って脂がのり、塩焼きにして食べると素晴らしい。旬が過ぎたら、スーパーなどで〈hareng saur doux〉などと記されてパックになっているおろし身を買ってこよう。これはニシンを塩漬けしてから軽く燻製したもので、そのままを薄く切っても食べられないことはないけれど、タマネギやハーブをきかせた油に数日間漬け込んでから食べると味が柔らかくなり、うまさが倍増する。
ニシンをボウルにとって、すっかりかぶるように牛乳を注ぎ、冷蔵庫に入れて塩加減次第で半日から1日置き、クッキングペーパーなどでよく牛乳をぬぐいとってから、漬け込みたい。
タマネギを薄く輪切りにする。ニンジンもやはり薄く輪切り。ローリエの葉は細かく切り分け、タイムは爪で枝をしごくようにして葉だけをとっておく。
ウサギのテリーヌやパテなどを作る時に使うテリーヌという陶製の器にタマネギやニンジンを半量敷いて、タイムとローリエも半量散らし、ニシンをテリーヌにできるだけ重ならないように並べる。その上に、残りのタマネギとニンジンを置き、残りのタイムとローリエを散らす。コリアンダーと黒コショウの粒を好みの量散らし、落花生油をタマネギやニンジンがすっかりかぶるまで注いでいく。好みではオリーブ油と半々にしてもうまい。これを冷蔵庫に入れて、少なくとも2日間の我慢です。
皿にニシンを置いて、漬け込む時に使ったタマネギやニンジン、輪切りにしたレモンで飾り、まだ温かいジャガイモの輪切りを添えれば、そう、ビストロの前菜の定番のでき上がり。トーストした田舎パン、有塩バターを添えましょう。ワインは、ムスカデのような辛口の白にしよう。ウオッカもうまい!(真)
ニシン300グラム、タマネギ2個、ニンジン1本、ローリエの葉2枚、タイム4枝、コリアンダー、コショウ、落花生油。
●ニシンをフランス風に塩焼き
ニシンが旬の時だったら、フランス風に塩焼きにしてみよう。魚を焼く網やオーブンがなかったらソテーしてもいい。ウロコを丁寧に取りのぞく。腹に包丁を入れてハラワタを出そうとすると、おいしい白子や数の子が出てしまうので、エラのところから指を入れて引っ張り出すようにしたい。網やオーブンの上火でグリルする時は、ニシンの表面にオリーブ油を刷毛で塗っておいた方が焼き上がりがぱさぱさしない。塩を振りかけ、あまり強すぎない火で焼いて、両面にきれいな焼き色がついたらでき上がり。メートル・ドテル・バターbeurre maître d’hôtel を添えることが多い。マスタードをベースにしたソースも合う。
●beurre maître d’hôtel
有塩バター200グラムをさいの目に切り、室温に置いておく。パセリはできるだけ細かなみじん切りにしたものを大さじ1杯用意する。柔らかくなったバターをボウルに取り、木のヘラで全体がポマード状になるまでかき混ぜていく。コショウ(あったら白コショウ)を挽き入れ、レモンを搾りかけ、パセリを加え、丁寧に混ぜ合わせればでき上がりだ。小さなバター壺に入れて食卓へ。今回はニシンの塩焼きに添えたが、肉のグリル、魚の揚げ物などにも合う。ジャガイモを丸ごとアルミホイルで包んでオーブンでホカホカに焼いたものに、このバターを添えたりしたらほっぺが落っこちる!
●魚料理用マスタードのソース
4人分として、小鍋にマスタードを大さじ2、3杯、フュメfumet de poissonという魚の濃いダシ(インスタントの粉末がスーパーで簡単に手に入る)をその倍入れ、弱火にかける。よく混ぜ合わせながら、沸騰しはじめたところで、バターを大さじ4杯ほど加える。好みでは薄切りにしたマッシュルームを加えてもいい。