Boudins aux deux pommes
肉屋で黒くとぐろを巻いているブダン・ノワールは、豚の血と脂、タマネギに、塩、コショウしさまざまな香りを付けて腸に詰めたもの。パリでは血、脂、一度火を通したタマネギが1/3ずつ入っているのが一般的。リヨンだとタマネギが生だったり、ナンシーでは牛乳を少々足したり、と各地でそれぞれのブダンが作られている。「Pour 4 personnes」と頼めば、とぐろから必要な長さ(一人分15センチくらい)を切りとってくれるだろう。
まずリンゴのコンポートとマッシュポテト作り。リンゴは皮をむいて四つに割り、芯を除いていくつかに切り分ける。これを鍋にとり、バター大さじ2杯と水少々を加え、弱火で20分ほど、よくかき混ぜながら煮ていく。最後に軽く塩、コショウ。シナモンパウダーを好みで加えてもいい。温めたボウルにとっておく。ジャガイモは皮をむいて大きく切り分け、20分ほど塩ゆでしたら、ざるにあけて水を切り鍋に戻す。フォークあるいはマッシャーを使ってきめ細かなマッシュポテトにし、生クリームとバターをそれぞれ大さじ3杯加えて混ぜ合わせ、塩加減を調え、ナツメグ適量をおろして加え入れる。これをやはりボウルにとり、100度に合わせたオーブンに入れて冷めないようにしておく。
ブダンを四つに切り分ける。焼いている時に皮が破裂しないように、楊子などで適当な間隔をおいて何カ所か穴をあける。フォークだと穴がくっつきすぎることになり、逆に皮が破れやすくなってしまう。
フライパンにバターを大さじ2杯とり中火にかける。バターが溶けたところで、ブダンを入れる。フタをして10分ほど、芯まで熱くなるように焼いていくのだが、時々転がして均等に焼き色がつくように心を配りたい。
皿の中央にブダンを置き、マッシュポテトとリンゴのコンポートを混ざらないように盛り付ける。マスタードも忘れずに添えよう。ワインはコット・デュ・ローヌの赤。(真)
ブダン4人分(一人分15センチは必要)、バター大さじ2杯
リンゴのコンポート:リンゴ8個(グラニー・スミス種のような酸味のあるもの)、バター大さじ2杯、塩、コショウ
マッシュポテト:ジャガイモ1kg(bintje種など)、生クリーム大さじ3杯、バター大さじ3杯、ナツメグ少々、塩、コショウ
●ブダン・ブラン boudin blanc
ブダン・ノワールよりは値が張る白いブダンは、高級食材店では年中買うことができるけれど、普通はノエルが近づくと店頭に出る。トリ、子牛、ウサギなど、白っぽい色の肉をきめ細かく挽いたものに、子牛や豚の脂身、生クリーム、牛乳、卵、小麦粉やパンの白身などを混ぜ入れ、さまざまなスパイスで香りをつけてから腸に詰めたもの。ノエルのごちそうということもあって、トリュフが入ったりもする。ブダン・ノワールよりは上品な風味だ。調理はブダン・ノワール同様に、フライパンで弱火で焼いていく。バターを塗ったアルミホイルに包んで、150度くらいのオーブンで15分ちょっと焼くのもおいしい。今回のレシピに、黒と白のブダンを半々にするのも面白い。
●ブダン料理さまざま
ブダン・ノワール入りのオムレツがうまい。4人分として卵6個をよく割りほぐし、生クリームを大さじ2杯ほど混ぜ入れ、塩、コショウ。ブダン200グラムは皮をむいてからやや厚めの輪切りにする。フライパンにバターを大さじ2杯とり、弱火にかけ、バターが溶けたところでブダンを重ならないように並べる。軽く色がついたらひっくり返す。ここで強火にし、卵を加える。後は自分の好みの焼き加減に、オムレツにするだけだ。刻みパセリを散らして熱々を味わう。ブダンとチョリソソーセージを半々にすると、ちょっと辛くてうまい。
最近、ビストロで出てくるのは、ブダンのパルマンティエ。オーブン皿にまずマッシュポテト半分を敷き、オムレツの時のように輪切りにして焼いておいた人数分のブダンを均等に並べ、残りのマッシュポテトで覆う。これを180度のオーブンに入れて20分ほど、きれいな焼き色がつくまで焼いていく。この間に、エシャロット、マスタード、白ワインなどをベースにしたソースを作って添えたらベスト。
●クレオル風ブダン
カリブ海に浮かぶマルチニーク島やグアドループ島の人たちが大好きな小振りのブダン。やはり豚の血が主原料だが、civeという細いネギ、タイム、丁字、ミルク、パンなどが入って柔らかい風味だが、唐辛子が入っているのでピリピリッと辛い。島の人々は正月などのお祝いの時に自分で作るが、ボクらはお店で、一人分少なくとも2個は買ってきて、15分くらい静かにゆでる。火を強くすると皮が破れてしまうので気をつけよう。指でつまんでチューチュー吸いながら、指でしごき出すように味わうのが本場の食べ方。お供は、もちろんラム酒のライム割りなどのカクテル。(真)