Tarte a l’oignon
日持ちがよく、煮ても、炒めても、揚げてもおいしく、頼りにできる野菜といえば、タマネギ。加熱すると出てくる甘さを上手に使いたい。今回は、タルトを作ってみよう。
まずは pate briseeと呼ばれるパイ生地を用意。バター125グラムをさいの目に切って室温に30分ほど置いておく。大きなボウルに小麦粉250グラムと塩小さじ半杯をとって混ぜ合わせる。真ん中にくぼみを作り、バターを加える。指先でそのバターを細かくしながら粉と混ぜ合わせ、そぼろ状になったら、水をカップ半杯弱加えて、素早くこね合わせながら、まとめるような感じで玉にする。水は入れすぎないように、2、3度に分けて入れるといい。しなやかだが柔らかすぎず、指にくっつかない、というのが目安。練りすぎると焼き上がりが固くなる。この玉をラップでくるんで冷蔵庫に2時間はねかせておきたい。
タマネギは二つに割ってから細くせん切りにする。ベーコンを小さな拍子木に切ったラルドンは1分ゆでてからザルにあけて水を切っておく。フライパンにバターを大さじ2杯とりタマネギをごく弱火で、軽く色がつくまで炒めていき、小麦粉大さじ1杯振りかける。混ぜ合わせてからもう5分ほど炒めておく。
大きなボウルに卵をとって丁寧に割りほぐし、液状生クリームを加え、混ぜ合わせる。塩、コショウ、そしてナツメグ少々をおろして加える。
オーブンの目盛りを200度に合わせて点火。
パイ生地を4ミリほどの厚さに伸ばして、バターを塗った直径30センチくらいの型におさめ、型からはみ出た分は切り落とし、縁を指先で押さえ、フォークの先で底をまんべんなく突っつく。その上に、均等になるようにタマネギとベーコンを並べる。その上から、卵と生クリームのミックスを静かに流し入れ、熱くなっているオーブンへ。30分ほどして表面にきれいな焼き色がついたらでき上がりだ。熱々を味わいたい。
ワインはボージョレの上品な赤、モルゴンはどうだろう。ビールも合う。(真)
タマネギ500g、ベーコン300g、小麦粉250g+大さじ1杯、バター125g+大さじ2杯、卵3個、液状生クリーム500cc、ナツメグ少々、塩、コショウ
〈タマネギ〉豆辞典
中央アジアあるいはパレスチナが原産とされるタマネギは、5000年前から栽培されているという古い野菜だ。体にいいとされ、古代からエジプト人やギリシャ人に愛されていた。中世に入って、ヨーロッパでも、さまざまな料理に使われる大切な野菜になる。フランスではノール県、フィニステール県、コット・ドール県などを中心に各地で栽培されている。
小さく、まだ皮ができてなくて真っ白で、よく葉がついたまま結わえられていたりする新タマネギoignon blancは、生のままかじったり、さっとゆでて和風に酢みそ和えもおすすめ。この小さなタマネギは、9月ごろになると量り売りされる。白い薄皮がついているが、さっと1分ゆでてからむくと早い。これはギリシャ風に煮たり、ビネガーに漬け込んだりする。いちばんふつうの、明るい褐色の皮にくるまれたものはoignon jauneと呼ばれている。皮と中身の外側が美しい赤紫色のタマネギoignon rougeは、味が柔らかいので、薄く切ってサラダに加えるといい。そのうえ彩りも美しい。
oignon jauneは、皮が乾燥していて、手のひらに取るとぱさっぱさっと音を立てるようなもので、身が真っ白なものを選びたい。涙の量を少なくするには切る前に冷蔵庫に1時間くらい置いておくといい。あとは包丁の切れ味と早さ次第です。皮をむいたら酸化しないようにすぐに調理したい。
タマネギは、ドーブやグラーシュといった牛肉の煮込みやタルティフレット、フラメンクーシュに欠かせないし、ベシャメルなどを混ぜ込んだsoubiseと呼ばれるピュレは、ウサギ料理やソーセージの白ワイン煮に最高だ。小さな白タマネギをバターで炒めたものは、子牛のブランケットやトリのワイン煮の味を引き立ててくれる。
●Glacer|Petits oignons glaces
glacerという動詞は、「凍らせる」、「糖衣をかける」の他にも、「料理に煮詰まった煮汁をかけながら火を通し、最後に表面に照りが出るようにする」という作業も指す。さあ、小さな白タマネギをグラッセしてみよう。小タマネギ600グラムは薄皮をとり、根を切り落とし、葉がついていたら2センチくらい残して切りとる。ソトゥーズのような底広の鍋に小タマネギを並べてヒタヒタに水を張る。バターと砂糖それぞれ大さじ2杯、塩少々を加え、弱火で、グツグツと15分ほど煮詰めていく。最後にその軽く褐色になったシロップ状の煮汁をからみつけて照りを出せばでき上がり。そのままローストポークなどに添えてもいいし、ブランケットなどに加えるのも素晴らしい。(真)