パリでジャズを勉強してみよう。
世界各国からジャズを学ぼうとパリに集まる人々。皆、言葉の壁と闘いながらも、がんばっている。音楽を学ぶといっても、「ジャズならば演奏者同志が曲を知っていれば、成り立つし、フランス語の学力はあまり問題にならないのでは?
」と思ってしまうが…。「フランス語の音楽用語は知っておいた方がいいだろうね。それに、授業は先生と生徒のコミュニケーション。もし英語を使ったとしても、伝えきれないことがあるよ」と、現役で活躍するかたわら、多くの生徒を持つアンドレ先生。確かに、学校では理論や楽器のクラスがあり、やはりフランス語が必要になってくる。でも、尻込みすることはない。学校の中では、5、6人編成で演奏するアトリエと呼ばれるクラスもある。先生が曲を決め、実際に、テーマ、アドリブを繰り広げる。その時こそは、ミュージシャン同志の会話ができるはず。そんな仲間たちとギグをとったりするのも、練習の目標となるだろう。
幸い、パリにはジャムセッションができるお店や(日本のように、演奏するのにお金はとられない)ギグが可能なお店がある。だいたいは主なクラブの日曜日の夜に行われている。
パリには、各区にあるConservatoire municipalや私立の音楽学校を合わせて、約30もの学校がある。ここでは主な学校を紹介。さあ、パリまでジャズ修行。
生徒の伴奏をするAndre Villeger先生。
arpej :
29 rue des Petites-Ecuries 10e
01.4246.2648
INFIMM-Cim : 83bis rue Doudeauville 18e
01.4258.0340
その他の学校と各区の情報は
Maison du jazz
くつろいだ気分でジャズを聴きたい。
Puces〉に出かけてみよう。古くは、ジャンゴ・ラインハルトも出演、マヌーシュのミュージシャンたちが演奏を繰り広げていた。今もその名残りを十分に残し、土曜、日曜の昼下がり、イナセなギター弾きがジャズの世界へと導いてくれる。軽く一杯と、生の演奏が、メトロで聴く演奏や、大きな会場とは違った、ミュージシャンのリラックスした音の流れを感じることができる。
Le Viaduc café : 43 av. Daumesnil 12e
01.4474.7070
La rhumerie : 166 bd Saint-Germain 6e
01.4354.2894
Le houdon : 5 rue des abbesses 18e
01.4262 .2134
OXY’D Bar : 26 av. Jean Aicard 11e
01 48 06 20 81
Le café universel : 267 rue St-Jacques 5e 01.4325.7420
Jawad K-Fe : 114 rue de Bagnolet 20e
01.4367.7335
La chope des Puces : 122 rue des Rosiers
93400 St-Ouen 01.4011.0249
パリのジャズ事情をインタビュー。
ドラマー、ティエリーさん
「ジャズだけで食べていけるのだろうか?」。いくら文化大国フランスと呼ばれても、実際は火の車らしい。「学校で教えたり、ポップスやシャンソンの仕事と、同時進行だよ」と、今パリで売れっ子ドラマーのティエリーさん。「それに、失業手当を受けるためには1年に40回以上の演奏証明が必要だけど、ジャズクラブで演奏しても、正規に手続きをしてくれるところは少ないからね」。内情はどこの国も同じなのかな。いやはや音楽で生きるとは大変なものだ。
ジャズファン、エリックさん
仕事がら、NYをはじめ国外によく行くという、ジャズファンのエリックさん。もちろんジャズクラブにもよく足を運ぶわけで、パリのジャズ事情をたずねてみた。「ひと言でいえば、贅沢に聴くことができると思うよ。アメリカでも滅多に聴くことができないミュージシャンの組み合わせがあったり、さまざまな協会が主催するフェスティバルも多いよね。チケットも高くないし。でも、インフォメーションが足りない、って感じることが往々にしてあるよ」ジャズ雑誌などで、マメにチェックする必要が大ですね。
クラブのオーナーキャロリーヌさん
80年代から、多くの演奏家をクラブのオーナーとして見守り続けている〈Les7Lezards〉のキャロリーヌさん。「何に対しても文句をいう人っているのよ!」と、目下問題になっている、近所からくる騒音の苦情にため息を漏らす。たとえインプロでなくとも、演奏がヒートすれば音量も大きくなる。このため息、彼女のジャズに対する情熱からくるものだ。