2005年は文学界では、例えばサルトルの生誕百年。これはあまり一般向けでもないようだし、フランス本国でもいまいちもりあがらないようだが、これから春・夏にかけて大きくもりあがりそうなのが、ジュール・ベルヌの没後100年だ。 1905年3月25日に亡くなったジュール・ベルヌは、少年少女文学で、フランス、さらには世界を代表する作家だ。そしてジョルジュ・サンドやランボーなどをはじめ、同世代の作家や20世紀の作家たちになんらかの影響を与えた作家だ。 ジュール・ベルヌ関係の本もすでに何冊も出ているが、とにかくお薦めしたいのは、文庫版〈Livre de poche〉から出ている小説だ。『海底二万里』や『80日間世界一周』などの19の代表作が、オリジナルの挿絵も入って、独特の「ジュール・ベルヌ」色で輝いている。 ここで内容は語る必要はないが、フランス語のレベル的には、これは仏仏辞書を使い始めたあたりの人でも読めないことはないだろう。かなり特殊な単語(例えば、魚とか花の名前)もあるが、難しそうなのは単語の意味くらいで、もともと少年少女向けのこれらの小説は構文や文法も単純で読みやすいはずだ。また、細かい章に分かれているので、毎日ちょっとずつ、テレビドラマを見るような感覚で読める。かくゆう(樫)も、小さいころに読んだはずであった『海底二万里』を今回、原書で読んでみた。文庫版でも600頁という大著、一度読み始めたらどんどん続きが読みたくなり、丸二日、のめり込んで、完読してしまっただけでなく、ネモ船長がまた出てくる『不思議な島』も読み始めた。 まだまだ長い冬の夜、ジュール・ベルヌ没後100年の今年、ぜひぜひ読んでほしい小説だ。(樫)
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Livre de poche 最新刊は一巻ものとして 復刊された『グラント船長の子供たち』
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