昨年5月下旬に成立した離婚法改正法案がいよいよ今年1月から施行された。そのうちの主要点を追ってみよう。 ●同意離婚(Divorce par consentement mutuel) 裁判官による審理は以前は2回行われたが新離婚法では1回の審理で決められ、取り戻しは不可能に。従って配偶者共同作成の合意案は確固としたものであるべきだ。 ●認諾離婚(Divorce acceptée) 夫婦の一方が離婚を要求し、片方も同意なら共同作成合意案を提出できる。が、条件や諸結果の点で一致しない場合は、裁判官が定めることになる。また離婚申請に必要だった、相手の過誤や批判を述べた離婚申請理由の趣意書は不用となる。 ●破綻離婚(Rupture de la vie commune) 以前は別居して6年経っていなければ一方の離婚申請は認められなかったが、民訴の呼び出し時に別居期間が2年続いていれば、相手の過誤を引き合いに出さなくても離婚申請できる。また離婚を拒否する側に認められていた苛酷条項*は廃止される。 ●有責離婚(Divorce pour faute) 離婚訴訟の42%を占めているといわれる、不倫や暴力を理由とする有責離婚において、離婚申請時に必要だった有責事由報告書の提出は不用となる。また一方的有責を帰せられた配偶者は、離婚後の補償給付を請求できなかったが今後は請求可能に。 ●補償給付(Prestation compensatoire) 離婚後の配偶者それぞれの生活条件の不均衡を是正するための補償条項が緩和され配偶者同士で補償金額を示談で決めることができる。離婚申請者は旧配偶者に対し扶養義務を負うが、一定期間だけ定期金を給付することもでき、また終身給付との併用や、定期金を中途で一時金払いに切り替えることもできる。画期的な点として、以前は債務者の死後、後妻または相続人に旧配偶者への定期金支払いの継続義務があったが、死後の補償は廃止される。が、遺産から一時金が引き落とされる可能性もある。 ●妻と子が暴力の危険にさらされる場合。 夫は追奪(取得権が奪われる)され、被害者は住居を一人で保持できる。が、被害届け後、4カ月以内に離婚もしくは別居申請がなされない場合は、夫の追奪は無効となる。 なんと複雑な離婚法 ! …といわれるかもしれないが、日仏他の異国籍者同士の離婚も含め、人生でのつまずきの一つをいかに冷静に将来を見据えて解決できるか、離婚法はその羅針盤にはなるだろう。(君) *苛酷条項 (la clause de durete) : 離婚が配偶者、子に苛酷な結果をもたらすと立証された場合、離婚請求は排斥できる。 |
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