子連れだったら、ケーブルカーや船を利用したい。
ベビーカーを押しながらのリヨン散策は、旧市街にあるサン・ジャン大司教教会からスタート。お目当ては教会内の天文時計。12時ちょうどに鳩や天使が一勢に時を告げる様子をしばし見学した後、高台にそびえるノートルダム・ド・フルヴィエール寺院へ。以前私はリヨンに半年ほど住んでいて、高台まで散歩するのが好きだったが、今回は無理をせずケーブルカーで。大聖堂横の見晴し台は、リヨン市が一望できる。運が良ければモンブランが拝めるのだが(市民によると年に4、5回のみ)、今回も曇りでダメであった。次は近くの古代ローマ劇場へ。砂利道なのでベビーカー向きではないが、紀元前建立の劇場のたたずまいを眺めるだけでも圧巻だ。ここでは毎年夏の夜、演劇、ダンス、コンサートなどが催されるフェスティバルLes Nuits de Fourvi俊eが好評だ。2千年前も現代も、同じ場所で歓声をあげ続けるのだ。
帰りはミニム駅脇にあるMontee du Gourguillonを通り、モノクロ写真でいつか見たような風景が続く坂道を下る。そしてヴュー・リヨン駅付近に戻り、からくり人形を展示するMusee La Renaissance des Automatesへ。シラノやエスメラルダなどお馴染みの登場人物がところ狭しと大集合だ。中には怪しげなゲイシャ人形も。娘に外国人の誤解ぶりを見せようと思ったが熟睡中だった。さて口が寂しくなったので、サロンドテでリヨン名物の真っ赤なプラリーヌをつまむ。歯が生え揃っていない子供には固すぎるので、パン屋さんでプラリーヌのタルトも別に買った。甘すぎないタルトは美味で、滞在中3度も食べた。
さて旧市街を散歩すると、絵画、陶芸、モザイクなどのアトリエ兼ショップが密集しているのに気がつく。その数30。もしももっと効率よく手工芸品を見たければ、毎週日曜にソーヌ河岸で開催の創作市がいいだろう。私はここで木製のコマをお土産に購入した。
セレスタン河岸からソーヌとローヌの合流点を通過する遊覧船に乗り込んだ。暖色の壁が連なる街並みから郊外まで、流れ去る風景を満喫したが、子供は風景よりも水しぶきの観察に一所懸命。 リヨンといえば、やっぱりマリオネット劇のギニョールだ。市内にいくつも劇場があるが、テット・ドール公園の劇場は屋外なので特におすすめ。「ギニョール!危なーい」。蛇に襲われそうな人形に、子供たちが声援を送る姿がなんとも微笑ましかった。(瑞)