Perche du Nil a la sauce aux crevettes
魚屋で、filet de perche と記されたピンクがかった大きめのおろし身が売られている。キロ12ユーロ前後。エジプトのナイル川で育った川スズキだという。フランスの湖沼に住む川スズキよりはかなり大きい。締まった白身はなかなかのうまさ。小骨もないから食べやすい。きょうはエビ入りソースを添えて、魚ぎらいの子どもたちを魚好きにしてしまおう。
4人分として、おろし身を2枚、ゆでエビを200~300グラム買ってくる。まず、エビの頭と殻をとりのぞき、これでフュメ(ダシ)を作ることにしよう。
小鍋にバターをとり、みじん切りにしたエシャロット1個を炒める。透き通ってきたら、エビの頭と殻を入れ、白ワインをカップ1杯、水を倍量加える。ブーケ・ガルニも入れ、控えめに塩をして、エビの頭と殻を押しつぶすようにしながら、15分ほど弱火で煮ていけば、香り高いエビのフュメができ上がる。
今度はソース作り。フライパンにバターあるいはオリーブ油をとり、みじんに切ったエシャロット2個とニンジン1本を炒めていく。やはりエシャロットが透き通ってきたら、小麦粉を大さじ2杯ほど加えて、しばらく火を通す。ここへ、ベシャメルソースを作る要領で、先ほどのフュメを少しずつ加えていく。さらに、マスタード大さじ1杯、生クリーム大さじ2杯を加えれば、とろりとしたソースになる。塩とコショウで味を調え、むいておいたエビを加えて、火を止めます。好みでは、グリーンピースやマッシュルームを入れてもうまい。
魚の両面に塩コショウして、バターあるいはオリーブ油で、きれいな焼き色がつくように炒め、エビ入りソースを上からかけ、きざみパセリを散らす。付け合わせは、ごはんかゆでジャガ。レモンも添えたい。
このエビ入りソース、いろいろな白身の魚に合わせて楽しみましょう。(真)
川スズキの大きめのおろし身2枚、ゆでエビ200g~300g、エシャロット3個、ニンジン1本、ブーケ・ガルニ、レモン、白ワイン1カップ、マスタード、生クリーム、塩、コショウ
●Perche
スズキに似た淡水魚perche。欧州全域の湖沼や川の、水藻が多いところに住んでいる。全長30センチくらいで300~500グラムくらいのものが一般的だ。その締まった白身は美味で、川釣りをする人が狙っている魚の一つ。淡水魚の中でもいちばんうまいとされているサンドルsandreは親戚だ。
●川スズキのから揚げ
オヴニー427号で、このナイル川産の川スズキを使ったから揚げを紹介したことがある。
「4人分として下ろし身を600グラムほど買う。川魚のから揚げならハゼ goujonとフランス人は懐かしがるが、そのハゼの形を真似て細長く切る。これに、小麦粉がきれいについて色よく揚がるように、ミルクかビールか白ワインを振りかけ、塩、コショウ。おろしニンニクも適量混ぜ込み、時々かき混ぜながらしばらく置いておく。
フライパンや friteuse(揚げ物鍋)にたっぷり油をとり、中強火にかける。
魚は水気を切り、小麦粉をまぶし、余分な粉をはたき落としたら、順ぐりに揚げていく。カラッと色よく揚がったら、油を切り、大皿にうず高く盛り付け、軽く塩を振る。レモンを絞りかけて食べるのが一番だが、自家製マヨネーズをつけながら食べるのも悪くない。ビールで乾杯!」
●crevette rose (bouquet)
今回のレシピに使ったゆでエビは、鮮やかな朱色の中エビで、crevette roseとかbouquetと呼ばれている。大きさにもよるが100グラム2eurosくらいから。レストランの海の幸盛り合わせに加わることが多い。グレープフルーツといっしょにサラダにすると絶品。むっちりとした身はマヨネーズとの相性がいい。またココナツ風味のカレーにしてもうまいが、火を通すと固くなるので、最後に加えます。
●H e r b e|Echalote
フランスでも中世から栽培されていたエシャロット。形は小さな玉ネギだが、玉ネギとニンニクの中間のような繊細な風味を持つ。小さめのéchalote griseがおすすめ。地中海沿岸がニンニク圏だとすると、大西洋岸からノルマンディーにかけてがエシャロット圏。バターや生クリームと仲がよく、ワインともしっくりと溶け合い、肉や魚料理に添えられるさまざまなソースに使われている。バヴェットのステーキとエシャロット入りソースは切っても切れない関係だ。ビネガーとの相性もよく、カキを注文すると、必ずエシャロット入りビネグレットソースがついてくる。(真)