モリエール賞6部門に輝いた L’hiver sous la table


 ポーランドから移民してきた一家を養うため、ローラン・トポールは靴職人として働いていたことがあったという。その後、作家になったトポールは、かつての自分を主人公ドラゴミールに投影しこの戯曲を書いた。
 凍えるような寒い冬に、ポーランドを離れフランスへ移民してきた靴職人のドラゴミールは、翻訳をしながら細々と暮らしているミシャロン嬢の机の下に住んでいる。その前に住みかとした木の株や大鍋の中、そして地下埋葬所に比べれば、ミシャロン嬢の机の下は快適! ドラゴミールは感激し、彼女の足の美しさに感嘆する。かたやミシャロン嬢は、ドラゴミールの「紳士的」な態度に感謝し、よい同居人ができたと喜ぶ。
 ミシャロン嬢は “trom” という言葉の訳に頭を悩ませているが、逆さまにすれば “mort”(死)、という作者が仕掛けた謎解きだ。ほかにも移民や貧困、おまけに季節は冬、と悲愴になりがちな要素が揃っている。それなのにこの作品が楽観的であることができるのは、底辺に心温まる男女の恋愛が、そして「机の下の空間を又貸しする」というトポールの突飛で気の利いたアイデアがあるからだ。
ミシャロン嬢を演じるイザベル・カレは絶好調で、舞台に輝きと光を与えモリエール主演女優賞。主演男優賞を得たドラゴミール役のドミニク・ピノンは、カレとは反対に、抑えた演技で陰影をつくっている。そして演出賞受賞のザブー・ブレイトマンは、小道具や音楽を効果的に使って舞台を盛り上げる。(海)

火~土21h、土16h、日15h。
7€~40€。
Atelier : 1 place Charles-Dullin 18e
01.4606.4924




Dance
●Pina BAUSCH “Nefe”
 ここ数年の彼女の作品の、あのなんとも緩い、つよさ。若々しさの飛び交う舞台の円熟。懐の広さ、というのか、こういう器の大きさといえるものを感じさせるものをつくれるのは、すべてをのり越え続けてきた者のみでは?
 70年代半ば、それまでの概念をくつがえす作風でダンス演劇界に大きな衝撃を与え、この十数年来は世界各地に招聘され、土地の空気を得て作品をつくる。日の長さを感じる季節、今年もまた彼らに会えるのがうれしい。この記事が出るころにはおそらく完売となっているだろうが、なんとしても当日券を手に入れるだけの価値はあるはず。(珠)

4日~22日(7、13、18日休演)/
20h30、6日と20日/17h。22€。
Theatre de la Ville :
2 place du Chatelet 4e 01.4274.2277