見てもよし、食べてもよし。
Potager du Roi—RER C5線Versailles-Rive Gauche駅下車RER
C線でパリから西へ30分、終点ベルサイユ・リーブ・ゴーシュ駅からベルサイユ宮殿に向かったら、門には入らずに左側の道に入ろう。サン・ルイ聖堂を目指して歩くとすぐ脇にあるのが、「王の菜園Potager du Roi」。ここはルイ14世の時代に王宮の食卓に出す食材を栽培するためにできた畑で、当代切っての園芸家ジャン=バティスト・ド・ラ・カンティニによって1678年から1683年にかけて造られた。
畑とはいっても王に捧げられた観賞用庭園でもあり、17世紀フランス庭園の創意工夫が散りばめられている。王の散歩コースに合わせて沼地に場所が決められたため、ラ・カンティニは、排水システムを完備したり、畑に適した土を運び入れたりと大変な苦労をしたそうだ。また、王を喜ばせるために遠い外国から持ってきた珍しい食材も栽培していた。「余は満足じゃ!」というルイ14世の高笑いが聞こえてきそう。革命後は農業実験場になったが、1976年、敷地内に国立高等造園学校ができ、そして1991年からは一般に公開されている。
四角形の敷地は9ヘクタールある。入り口側は高台になっていて、そこからシンメトリーで端正なデザインの庭園が一面に見渡せる。正面はグラン・カレと呼ばれる3ヘクタールの四角い野菜畑だ。梨の木の垣根で均等に16に区切られたこの野菜畑には、春にはアスパラガス、ほうれん草、ルバーブ、夏にはトマトやキュウリなど、50種類もの野菜が育てられている。梨の木の垣根は若木のころから平たく伸びるように細工してあり、まるで唐草模様のレースのようだ。周囲にはさらに12の庭園が広がっていて、リンゴや梨、イチジク、スモモ、キウィなど5000本の果樹のほか、高原植物やハーブなどが植えられ、季節ごとに姿を変える。
また造園学校の実習コーナーをのぞくのもいいだろう。王の菜園の世話をするのは15人の庭師たちだ。園芸に興味がある人は、彼らに質問をしてみてはどうだろう。毎年収穫される50トンの果物と30トンの野菜はどこへ…という心配はご無用。現地で直接購入できる。採れたての食材のほか、ジュースやジャム、園芸関係の本も充実。春の色と香りだけでなく、食欲も満たしてくれるのもうれしい。(仙)
10 rue du Marechal Joffre
78000 Versailles 01.3924.6262
10h~18h 無休(11月1日まで)
*入場料 : 平日 4.50e、土日祭 6.50euros
学生・子供は毎日3euros
*土日祭日は毎時間ガイドあり
www.potager-du-roi.fr
梨の木。ラ・カンティニ像。