3月21日と28日、2回投票が行われる地方圏及び県会議員(半数)選挙に対し有権者の40%弱しか関心を示していない。盛り上がらないこの選挙戦にハデな前哨戦を見せたのがルペン国民戦線FN党首。 中学生でも知っている被選挙資格、つまり立候補するにはその選挙区に本居を有し、1月1日時点で地方・住民税などを払い込んでいなければならない。ルペン氏がPACA(プロヴァンス・アルプ・コートダジュール)地方圏議会選挙にニースから同党の筆頭候補として立候補届を出した住所は、彼の名義で借りているがルペン氏自身は住民税も払っていない。同党司法顧問が税務署と行政裁判所に「登録時の間違い」と泣きついたが3度拒否され、地方知事にも無効とされ、ついにルペン氏の前哨戦は空振りに。 ルペン氏はこの失策を逆手にとり当局の策謀と叫ぶ。が、同地方圏議会選挙戦で与野党候補間で80%の票が争われると予想されるなかで、ルペン氏は惨敗の恥をさらすより、選挙前に “殉教者” として身を退いたほうが無難と計算したのでは? 彼の後任に同地方圏議会議員、FNグループの長老マカリ氏(74)。はたして “受難者ルペン” の党に同情票が集まるか。 国民の関心が薄いといわれる地方圏議会と県議会だが、前者は鉄道や道路など下部構造や高校・HLM公団の建設、地元産業・農業への援助などを管轄。後者は各種手当やRMI(社会復帰最低収入)手当など社会保障面を管轄し、住民に密着しているだけに保守勢力の根が深い。国民議会議員の158人(そのうち100人が県会議長)、上院議員131人が県議を兼任。 たとえばサルコジ内務相は閣僚でありながら(シラク大統領は閣僚の議員兼任を禁止しているが)オー・ド・セーヌ県会議員選挙に出馬。サルコジ氏は、1988年以来パスクワ元内相が居座っているオー・ド・セーヌ県議会議長の座を継ぎ、与党UMP(民衆運動連合)内派閥もものともせず、2007年大統領選への王道を切り開こうと野心満々。 一方、左派はこの地方圏議会選挙を2002年4月21日の大統領選大敗の挽回戦として取り組んでいる。社会党は6地方圏で共産党と、5地方圏で緑の党と統一候補者名簿を提出。左派3党が次期大統領選を目標に共闘態勢にあるなかで、極左LO(労働者の闘い)のラギエ代表とLCR(革命的共産主義者同盟)のブザンスノ代表が仲よく統一戦線をはっている。前大統領選で両党合わせて得票率9.97%を得、左翼票を分散させたために大統領候補ジョスパンを1回選で土俵からはじき出した極左勢だ。今回の選挙で左派が与党UMPやFN以上に恐れているのは極左統一候補と棄権者なのである。 昨年成立した新選挙法により、第1回選で10%以上の得票率を得た候補者名簿が決選に進め、さらに第2回選で5%以上を得れば得票率比例数の議席を得られる。そして最高得票率を得た候補者リストはさらに25%増の議席を獲得でき、議会で過半数政党になれるわけだ。 右・左派、FNにとっても真剣勝負、3年後に大統領選挙がひかえているだけになおさらのこと。(君) |
地方圏議会議員選挙(3/21 – 28) |