フランス語でいうコンフューシュスは孔子のこと。今、パリのギメ美術館で孔子展(2月29日迄)が開かれているけど、なんとなく東洋人の私が今さら(といっても高校で孔子と孟子の違いもあまり勉強しなかった)とちゅうちょしていた。でもフランス人にどのように儒教の元祖を紹介するのか興味があった。
行った日が授業のない水曜だったためか、小学生のグループが先生の説明を聞きながら真剣に展示品を見入っているではないか。「コンフューシュスはソクラテスが生まれる10年前に死んでいます」。コンフューシュスに対しソクラテスか、なるほど…。
孔子の生涯を描いた現代画家による一連の素描画は、孔子が幼少からどんなに礼を重んじた偉人だったかを表している。展覧会の解説者がまたなんともいえないそこいらのおじさん風で、孔子と門人との禅問答に似た訓示を例にとりながら、徳治政治とはなんであるかユーモアを交えて説明している最中、中年女性の一人から「では毛沢東は落第ですね」とあいの手が入る。
孔子の彫像や肖像画、同時代の青銅器、そして今日残っている孔子廟のドキュメンタリー映画などを観て、パリで還暦を迎えた自分が初めて孔子と出会ったようで、心がなんとなく開かれた気持ちで会場をあとにしたのだった。(悠子)