Canard laqué à la maison
以前、中華風カモの照り焼きcanard laquéを紹介したことがある。そのときは皮付きのままオーブンで焼くやり方だったが、よく食べに行く中華レストランのコックさんのアドバイスで、最近は、皮をとってからソースを絡めながらソテーすることにしている。オーブンなしでできて調理時間も短いし、焼き加減も間違いが少なく、わが家でも好評です。
4人分として、カモの胸肉 magret de canard(キロ15 euros) 前後を二つ買ってくる。一つ350グラムから400グラムほどだ。包丁の先を使ってていねいに皮をはがしたら、2、3時間タレに漬けこむことにしたい。タレの中身はお好みで、醤油、酒や白ワイン、ビネガー少々、ショウガ、ニンニク、ネギ、コショウ、八角などをブレンドして作る。ハチミツや砂糖はソテーするときに焦げやすくなるので、この段階では加えない方がいい。この間に、みじんに切ったエシャロット4、5個を透き通るまで炒めておく。
薄く油をひいたフライパンあるいはソトゥーズを強火にかけ、カモの胸肉をタレを切ってから加える。1分ほどできれいな焼き色が付いたらひっくり返して、もう片面にも焼き色を付ける。ここで火を弱火に落とし、片面4、5分ずつ火を通す。中までよく焼けた方が好きな人は、厚さにもよるが、片面6、7分。焦げそうになったら、水少々をさします。
肉を取り出したソトゥーズに、残っているタレも入れ、ハチミツや砂糖を好みの量加え中火にかける。絶えず木のへらで混ぜ合わせながらしばらく炒め、幾分とろりとしてきたら、エシャロットを加えてもう少々火を通す。
カモの胸肉を薄く切って盛りつけ、上からタレをたっぷりとかけましょう。カモ丼にしてもおいしい。行きつけの中華レストランでは、カモの下にゆでたモヤシが敷いてある。ぼくは、白菜やチンゲンサイのごま油炒めを添える。飲み物はチンタオビールがいちばんだ。(真)
●台所の本|Werle & Cox 《Ingrédients de cuisine》
売れ行きの悪かった本やCDを廉売している店には、必ずといっていいほど料理の本も置いてあり、掘り出し物が多い。これは、最近見つけた384頁の世界食材図鑑。大判の本で写真も鮮明だから、各食材が手に取るようにわかる。ミソ、みりん、昆布、カマボコなどなど日本の食材も出ているし、今まで名前だけしか聞いたことのなかった、魚や野菜、香草や穀物などが発見できるのがうれしい。各種の肉を扱ったページは、とても充実しているが、魚はちょっと活きの悪いものも写っているのが残念だ。(真)
●レモン風味のカモ canard au citron
左記のレシピの欄で出てきた中華レストランではレモン風味のカモもあり、さっぱりとおいしい一品だ。これも材料はカモの胸肉で、皮をはいでから、火が通りやすいように開いて二枚にする。これを、レモンの搾り汁、ナムプラー(魚醤)、ショウガ、コショウ、砂糖少々のタレに2時間漬ける。カモ肉を取り出し、かたくり粉かコーンスターチをまぶして、最初は中温、最後は高温でからっと揚げる。薄く切って皿に並べ、ナムプラー+レモンの搾り汁+砂糖+水少々のタレを添える。
●カモの胸肉 magret de canard
カモの胸肉は、一つ、二つと買えるので、少人数の家庭でも便利な食材。肉質が締まっているので、一つで2人分です。ふつう、グリルで焼いたりフライパンでソテーし、グリーンペッパー入りのクリームソース、ポルトー酒やグラン・マルニエ酒風味ソースなど、お得意のソースを添える。甘酸っぱいソースの方が、カモのしっかりした風味に合うようだ。時間がある人は、マリネしてから調理すれば、味わいがさらに深くなる。今回のように皮をはいでから調理すると、焼き加減が均等になって簡単だが、皮ごと焼いた方が、肉が柔らかく仕上がる。皮の方に切れ目を格子状に深めに入れる。フライパンを弱火にかけ、まず皮の方から焼いていく。脂が厚いので、20分くらいはかかるだろう。脂がすっかり溶け出て、皮にかりっと焼き色がついたらひっくり返す。あとは火を中火にし、3分から5分焼けばできあがりだ。肉が半焼けで赤身を帯びている方が好きな人もいるので、各人の好みをあらかじめ確かめておいた方がいいでしょう。秋になったら、白菜やネギなどをたっぷり入れたカモ鍋もいいなあ!
●カモの胸肉 の燻製
filet de canard fuméと呼ばれるカモの胸肉の燻製も市販されている。これは調理する必要がなく、薄く切ってアペリティフのおつまみにいい。サラダに入れてもうまい。