アルジェリアが、約130年にわたるフランスの支配から解き放たれて独立したのは1962年7月3日。それから40年以上経った3月2日、シラク大統領は、フランスの大統領としては独立後初めてアルジェリアを訪問。首都アルジェでもオランでも20万人というアルジェリア人の歓待を受け、頭が真っ白になるほどの紙吹雪を浴びながら笑顔を振りまくシラク大統領の姿が、テレビのニュースに流れた。 このハッピーエンド風な映像は現実を正しく映しているのだろうか? 8年間にわたるアルジェリア戦争では、少なく見積もってもアルジェリア人20万人、フランス人6万人という死者を出し、テロによる市民の被害者も数え切れず、両国民の傷口が癒えるには、まだまだ多くの年月がかかりそうだ。現在でも多くのフランス人の中にアルジェリア人への差別的な感情が残っている。 今年は、フランスでは〈アルジェリア年〉。テレビでも、アルジェリアをテーマにした番組が増えそうだ。最近、France 2で『Le Porteur de cartable』というテレビ映画が放映された。フランス生まれのアルジェリア人少年と、戦争を逃れてアルジェリアからフランスに移住してきたフランス人少年が主人公で、埋めようのない亀裂にもかかわらず、彼らの間に少しずつ育っていく友情がきめ細やかに描かれていた。 アルジェリア戦争当時の、フランス軍あるいはFLN(アルジェリア民族解放戦線)による無差別な処刑や拷問を撮ったドキュメンタリーも放映されるに違いない。しかし、一世紀以上にわたる過酷で不平等な植民地主義に耐えてきたアルジェリア人、彼らの独立への願いを正当に評価する視点を持たない限り、その映像は、どうしてもフランス側に偏ったものになってしまうだろう。(真) |