Pintade au chou
ホロホロ鳥pintadeは、気が強くて運動量も多いだけに、その身はニワトリよりも弾力があり、どこか野性の風味。そのうえ、値段も高くない。マロンなどを詰めてローストしてもおいしいが、今回はとりわけ相性がいいキャベツと煮込んでみよう。ホロホロ鳥は鳥肉屋で、大きさによるけれど、四つあるいは六つに切り分けてもらいます。
小さめの緑キャベツを四つに割る。芯はつけたままの方がばらばらにならない。大きな鍋で5分ほど塩ゆでにしたら、ざるにとり、冷水にさらしてからよく水気を切っておく。ベーコン250グラムは細い棒切り(右欄の「台所のフランス語」参照)。ホロホロ鳥に塩、コショウ。
大きめのココットを中火にかけ、大さじ1杯のバターと同量の油をとり、熱くなったらホロホロ鳥を皮の方から入れる。表面にきれいな焼き色がつくように、途中でひっくり返しながら10分ほど炒めたら、ホロホロ鳥をとり出す。
残っているバターと油を捨て、新たにバター大さじ1杯を加える。相変わらず中火です。ベーコンを加え、軽く色がつくまで炒める。このベーコンの脂と燻製風味のおかげで、ホロホロ鳥がパサパサにならず、キャベツのうま味も倍増する。
キャベツをココットの四隅に入れ、その真ん中にホロホロ鳥を置く。ここへ、トリのダシ(インスタントでも構わない)250ccを加え、火を弱火に落とし、フタをし、コトコトと45分くらい煮込んでいく。途中で二、三度ひっくり返したい。水気がなくなりそうになったら、ときどき水を足しましょう。
ここで味加減をととのえればでき上がり。あらかじめバター炒めしておいた、季節のマロンや茸を加え、数分火を通せば、クリスマスのごちそうにもなる。
熱くしておいた大皿に盛りつけ食卓へ。煮汁は素晴らしいソース! ソース入れに入れて添えましょう。ワインはサン・タムールのようなボージョレの銘酒。(真)
●台所の本|A.Dumas《Mon Dictionnaire de cuisine》
食べることにも情熱を注いだ文豪アレクサンドル・デュマが、1869年、亡くなる直前に書き上げた料理辞典で、ABC順に、食材や調理法が並んでいる。デュマの博識ぶりに脱帽! レシピもたくさん載っているが、当時の料理をかいま見るようで、とにかく面白い。巻末に並んでいるフルコースの豪華さと量にも驚嘆!
1860年ごろからベルギーで栽培され始めたアンディーヴは、まだパリまで広まっていなかったのでは? と探したら、案の定 “endive” はなく、”écrevisse” と “éperlan” の間にはなんと “éléphant”!「若いゾウの足1、2本、皮と骨をはずし、ぬるま湯に4時間ほどさらす…」(真)
●ホロホロ鳥 pintade
「外見はヤマウズラに似ているホロホロ鳥は、騒々しくてかんしゃく持ちのため、農場で飼うには不便すぎ、飼育をあきらめる者が多い。(…)広いところで放し飼いにされたホロホロ鳥の肉は、繊細なことではキジの肉にもひけをとらない。キジとまったく同じように調理できる」とアレクサンドル・デュマは書いている。チキンよりは締まった肉質で、クリ、イチジク、ハチミツなどの甘みをきかせて調理すると、そのおいしさが引き立つ。
●クリの下煮
クリをバター炒めしたり、詰め物にするときは、生グリmarronを買ってきたなら、下煮が必要になる。ふくらんでいる方に、よく切れるカッターやナイフを使って横に切れ目を入れる。熱湯で5分ほどゆでて、まず固い皮をむく。さらに新しく沸騰させた熱湯で15分もゆでれば、渋皮も簡単にむけ、芯まで柔らかくなっているはずだ。これをバター炒めするときは、塩少々、砂糖少々を加えて、味を引き立てたい。面倒な人は、初めからmarrons au naturelと表記してある瓶入りのむきグリを買ってくればいい。クレーム・ド・マロンは、甘露煮にしたクリを練ってクリーム状にしたもので、アルデッシュ県の名産。バニラの香りもきいていて、クレープの中身にしたり、ヨーグルトに入れたりするとうまい。冷たくしたものに泡立てた生クリームを添えれば素敵なデザート。
●台所のフランス語|lardon
ラルドンというのは、細い棒状に切られたベーコンや背脂のこと。couper le lard en petits lardonsのごとく使われる。piquer de petits lardonsとあったら調理中に乾燥しやすい肉の塊に、棒状に切ったベーコンや背脂を刺しこむこと。