「とにかく観に行って!」 ペドロ・アルモドバル監督”Parle avec elle”

 なんか凄い映画を観てしまったなー!という余韻が後を引く。早くこの感動を人に伝えたい気持ちにかられる…「とにかく観に行って!」というのが、監督のペドロ・アルモドバルに言わせると、映画のメッセージなのだそうだ。
『Parle avec elle/彼女と話して!』は、ピナ・バウシュの舞台 “カフェ・ミュラー” から始まる。しかも、最近はあまり舞台に立たない彼女自身が踊ってる。それだけでグッときてると、観客の一人の男の目から涙が溢れている。その感動している男にまた感動する。泣いてる男の横に座っているもう一人の男は、そんな私と同じ思いを抱いているようだ。この男(ベニーノ)は看護夫で、植物人間と化した若く美しいダンサー(アリシア)の介護をしている。彼は彼女に、舞台の話や居合わせた男の話をする。聞こえているのか? ベニーノは彼女が聞いていると確信しているようで、日常のすべてを彼女に話して分かち合っているようだ。こんな境遇の女性にも生理は来る。この生命力は、今のアリシアには残酷な事実。またグッとくる。
 一方、泣いてた男(マルコ)はライターで、人気女性闘牛士(リディア)に、離婚の真相を取材するために接近する。が、いつしか、脆く傷つきやすくなっている彼女を護る立場となり、二人は恋に落ちる。この幸福は長続きしない。リディアも闘牛中の事故で植物人間になってしまう。看護する者同士としてベニーノとマルコは再び出会う…。
 物語的にいうと、ここまでは、この後に起こるもっと大変なことの序章に過ぎないのだが、この映画は一つ一つのシーンが深くて、もう最初から胸がいっぱいになりっぱなしだ。愛や孤独やコミュニケーションについて、人間には解決できないかもしれない感情の問題を語りかけつづける映画だ。(吉)

 

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