Oeuf poche a la sauce d’anchois
前号で紹介したレストランで食べた〈ポーチドエッグ、アンチョビーソース添え〉がおいしかった! そこでさっそくトライ。友だちを招いた時などにも出せる素敵なアントレになるでしょう。
レストランでは、ソースにレンズ豆が混ざっていて、歯ごたえがあるのがうれしかった。といっても、レンズ豆を始めからゆでるのはちょっと大変。レンズ豆料理を作ったときに、煮上がったレンズ豆を脇にとっておき、翌日にこのアントレを作るのがいいだろう。それも面倒な人は、缶詰のレンズ豆で十分です。
底広の鍋に水をたっぷりと張り、卵の白身が凝固しやすいようにビネガーを大さじ3杯加える。沸騰直前になったら卵を入れるのだが、あらかじめ1個ずつ茶碗に割り入れ、そっと流し込むようにしたい。白身をかき寄せ、黄身のまわりでまとめ上げるようにする。卵の大きさとか好みの黄身の固さ加減によるけれど、3、4分たったら、網杓子ですくいあげ、1分ほど水につけて黄身が煮え続けるのをおさえ、クッキングペーパーの上に置いて水気を切る。
つぎに4人分のアンチョビーソース作り。小鍋にバター少量をとり、できるだけ細かくみじん切りにしたエシャロット
1個を炒めていく。透明になったら、液状の生クリーム200ccを入れ、沸騰しかけたら、市販のアンチョビーペーストcrême d’anchoisを適量加え、コショウを挽き入れる。アンチョビーペーストは塩味がきついので、塩をする必要はなし。レンズ豆を、一人当たり大さじ1杯混ぜ入れて火をとめる。
ここで卵を熱湯に戻して1分ほどそのままにして温め直す。お皿の中央にその卵をおき、まわりにソースを流し入れ、レタスの葉などを飾りにし、きざみパセリを散らせばでき上がりだ。(真)
●台所の本|Brigitte et Jean-Pierre Perrin-Chattard
《Mieux connaître la cuisine corse》
ポケット版の一冊に、海と山の幸に恵まれたコルシカ島の料理がわかりやすく紹介されている。名産のオリーブ油をたっぷり使ったスープ、渓谷のマス料理、羊乳のフレッシュチーズ〈ブロッチオ〉を詰めたイワシの焼き物、黒オリーブ入り子牛肉のソテー、山羊肉のロースト、栗粉を使ったクレープなど、素朴でいながら風味豊かな料理が並んでいる。このシリーズで、ブルターニュ、ブルゴーニュ、アルザスなどの地方料理にも挑戦できる。(真)
*コルシカ島の食材は、Le Comptoir corse (16 rue de la Banque 2e 01.4296.1961)で。
●ポーチドエッグ、赤ワインソース
まず上のレシピのごとく、ポーチドエッグを作って水気を切っておく。
小鍋にバターを大さじ1杯とり、みじん切りにしたエシャロット2個を弱火で2、3分炒め、軽く塩を振る。ここへ赤ワイン(ボージョレのようなまろやかなものがいい)を300cc加え、半分くらいになるまで煮詰める。さいの目に切った冷たいバターを、泡立て器を使って少しずつ混ぜ入れれば、とろりとしたソースになる。仕上げにコショウを挽き入れてアクセントをつけましょう。ごく弱火で冷めないようにしておく。底広の鍋にたっぷりと水を張り、沸騰したら火から下ろし、ポーチドエッグをこわれないように戻し、30秒から1分、そのままにして温め直す。この間に薄く輪切りにしたバゲットをトースト。お皿の中央にバゲットの輪切りを置き、その上に卵をのせ、まわりにソースを流し、きざみパセリを散らせばできあがりだ。小さく切ってからこんがり炒めたベーコンを加えると、さらに上等。
●アンチョビーペースト crême d’anchois
チューブ入りのアンチョビーペーストを一本買っておくと、クリームソースやトマトソースに混ぜ入れたり、魚や肉を漬け込むタレに加えたり、トーストに薄く塗って黒オリーブをのせアペリチフ用のカナッペを作ったり、などと重宝する。
●台所のフランス語|pocher
レシピにはpocher le poisson dans le court-bouillon のごとく出てくる。卵、魚、肉、脳みそ、果物などを、沸騰直前の液体の中でコトコトとゆでること。名詞はpochage。液体は、材料によって、水+ビネガーだったりクールブイヨンだったりシロップだったりする。こわれやすい食材に適した調理法。ポシェしたら、熱いまま、あるいは冷ましてから、それぞれに適したソース(レモン風味の溶かしバター、マスタードソース、マヨネーズ…)を添えて味わう。