ユーロ航海への船出。

 史上初の共通通貨、ユーロがいよいよ2002年1月1日から12カ国(右下欄参照)の国民の手から手に流通しはじめる。
 なかには食わず嫌いのユーロ・アレルギー体質の人も出てきそうで、今でも旧フラン(58年のデノミ: 旧100F→新1F)で計算しがちなフランスの高齢者たちに1ユーロは6.55957Fと言ったら、「えっ? 655フラン96サンチーム?」と言い返されそう。
 他の国では、例えばギリシャでは1 euros=340.750ドラクマ、イタリアでは1 euros= 1936.27リラと、天文学的換算になる。また旧紙幣との隔たりを避け、物価水準に合わせるためポルトガル、ギリシャ、アイルランド、スペインの4カ国は7種類のユーロ紙幣のうち500 euros紙幣は発行しない(初めの3カ国は200 euros札も発行せず)。
 8種類の硬貨(1,2,5,10,20,50cent*,1, 2 euros)の裏面は12カ国共通だが、表には各国のシンボルを、フランスはマリアンヌと種まく人、木の3種の図柄をあしらっている。紙幣は両面とも12カ国共通で、表に開放を意味する”門” か “窓” を、裏にはEU諸国をつなぐ”橋”をかたどっている。それらは実在する建造物ではなく西洋美術の7期(古典・ゴチック・ルネサンス・バロック・ロココ・鉄とガラス・現代)を表している。
 1月1日、ユーロ流通開始後、国によって1~2カ月間、旧通貨と新通貨の並行流通期間をもうけている。ドイツ他ほとんどの国が2月28日まで、フランスは2月17日24時まで、オランダは1月28日まで併用。ヘソクリを替えそこなった時などは、6月30日までに行きつけの銀行でユーロに替えるか口座に入金すべき。それ以降は、仏中央銀行でなら旧硬貨は3年、旧紙幣は10年以内にユーロに替えられる。
 ユーロをいかに早く浸透させられるかは商店次第。元日からユーロでおつりが出せるように、銀行は商店に12月1日から222 eurosのユーロ硬貨キット(640個入り)を販売。個人は12月14日から100F(15.24 euros)の硬貨40個入りキットを銀行や郵便局、タバコ屋で購入できる。が、元日は銀行、その他が休業なので、できるだけユーロ建て小切手かクレジットカードによる支払いを奨励している。銀行連盟も2月17日までは30 euros(196.79F)未満のカードによる決済へのコミッションは請求しない方針だ。
 小切手については、フラン建て小切手(元日より無効)は振出日が12月末日までは有効で、受取人の振込み期限は1年と1週間有効。が、フランスのユーロ建て小切手は国内でしか使えず、国外では拒否されるか手数料をとられる。したがってユーロ諸国に滞在する時は国際カードかユーロ建てトラベラーズチェックが便利。
 とはいうものの、行員組合がユーロ特別手当を要求して1月2日からのストを予告。出航前からユーロに嵐!?(君)
 

こんなことになると、オツリの計算に手間どって、パン屋さんなどに長蛇の列。12月中にユーロ硬貨キットを買っておいて、初日からユーロ払いがいちばんです。
残っているフランは自分の口座に振り込んでしまう。


*硬貨・紙幣とも全て単数表示だが小切手などに書く時は2cents、2eurosと複数で表記。仏語ではcentの”t”を発音せず100 (cent)と間違いやすいのでcentime (サンチーム)と表記、発音する場合が多い。
*「簡単な換算法」(フラン→ユーロ)
フランにその半数を足して10で割る。
200Fなら:(200F+100)÷10=約30 euros