Carbonnade a la flamande
夏に2週間滞在した小さな町には、肉屋が一軒しかなく、売られている牛肉は評判高いリムーザン産。ステーキ用のところはキロ130フランを軽く超えてしまい、僕らの予算をオーバー。こんな時は、バカンスで時間はたっぷりあるのだから、半額程度のgîte(もも肉)やbasses-côtes(首肉に続く背肉)などを買って、気長に煮込みです。今回は久しぶりにビールで煮込んでみることにした。
煮直すとうまいくらいなので、肉は1キロ半買ってくる。大きめに角切り。タマネギ大3個は二つに割ってから、薄くせん切りにしておく。ココットのような厚鍋に油をとり、まず強火で肉を炒めて焼き色をつける。塩、コショウ。2度に分けてやるとうまくいくだろう。火を中火に落とし、タマネギを加える。透明になり、軽く色がついてきたら、小麦粉大さじ2杯を振りかけ、しばらく炒める。ビール2~3カップを注ぎ、底にこびりついたうま味を溶け込ませる。マスタード大さじ1杯、輪切りにしたニンジン1本、ブーケ・ガルニ、丁字2本を加え、水やスープをヒタヒタに張る。隠し味にカレー粉少量を加えるのも面白い。好みでは濃縮トマト少々を足してもいい。塩味を調え、沸騰してきたらフタをし、弱火にしことこと煮込んでいきます。
ビールはラガータイプより、ベルギー名物の褐色ビールの方が、糖分があっておいしく煮上がるようだ。僕は、少し安いフランス産のジャンランJenlainを使うことにしている。
3時間くらい煮れば、肉がとろけそうになっているだろう。ここで黒コショウをたっぷり挽き入れ、みじんに切ったパセリを散らせばできあがりだ。付け合わせはバターライスや、ほかほかにゆで上げたジャガイモがうまい。
飲み物は、料理に使ったビールというのが落ち着きます。(真)
●basses-côtes
首肉に続く背肉で、最初の3本の肋骨の部分の肉を指す。少々脂身は多いけれど、entrecôte(リブロース)に近い味。煮込みに使うgite(もも肉)はゼラチン質が多すぎて、という人にはこのバース・コートが最適だ。ステーキにしてもおいしいし、冷凍して薄切りにすれば、韓国風焼き肉にいい。
