Filet mignon saute
豚のフィレ・ミニョンは、えっ、これが豚肉、とビックリするほどの柔らかさ。1頭から600グラムくらいしかとれない貴重品なので、値段も少々張るけれど(キロ70F前後)、それだけの価値は十分にあり。和風なら、輪切りにしてから炒め、酒、しょう油、ゴマ油などをからめ、ショウガやコショウでピリッとさせると、ご飯にうまい。今回は、生クリームをベースにし、ケイパーや黒オリーブを加えたイタリア風ソースを添えます。
4人分として、フィレ・ミニョンを1本買ってくる。時間があったら、白ワイン+好みのハーブなどに半日ほど漬け込んでもいいけれど、もともと柔らかい肉なので、別にその必要もない。
ケイパーは4人分として大さじ2杯用意する。黒オリーブ(一人あたり2、3個)は半分に割って種を取り出し、ケイパー大に切り分ける。ニンニク1片は、できるだけ細かくみじん切りにする。
肉を1.5センチの厚さに輪切りにし、両面に塩、コショウ。フライパンにオリーブ油をとり、両面に軽く焼き色がつくまでソテー。肉を取り出し冷めないようにしておき、フライパンに白ワイン300ccとニンニクを加え木のヘラでかき混ぜながら、肉のうま味を溶け込ませる。半量になるくらいまで煮詰めたら、生クリームを一人あたり大さじ1杯加える。さらに少々煮詰め、ケイパー、黒オリーブを加え塩、コショウで味を調えれば、ソースが完成する。といっても、オリーブの塩がきつかったりするので、塩加減に気をつけること。皿にフィレ・ミニョンを並べ、ソースをかけまわし、みじんに切ったパセリやコリアンダーの葉を散らす。
付け合わせは、バターライスでもいいが、僕は、ペンネをアンチョビー風味のトマトソースで和えたものを添える。
ワインはソミュール・シャンピニーなどの軽い赤が合うでしょう。(真)
台所のフランス語
●tournedos
トゥルヌドtournedosは、牛フィレ肉を厚さ2センチ、直径6~8センチに輪切りにしたもので、まわりに豚の脂身を巻くことが多い。柔らかな肉なので、さっとソテーしたり、グリルにしたりする。たとえばフィレ・ミニョンをトゥルヌドのように輪切りにするのなら、tailler le filet mignon en “tournedos”。同じように厚めに輪切りにすることをtailler en medaillonともいう。médaillonは大型のメダルのこと。でも、なぜフィレ肉を輪切りにするときに背を向ける(tourner le dos)のかについてはさまざまな説があるが、はっきりしたことはわからない。tournerには、料理用語として野菜や肉の面取りをするという意味もあり、そこからきているのかもしれない。
●déglacer
deglacerは、肉や魚をローストしたり、ソテーしたりした後に、調理に使った天板やフライパンにワインやフォン・ド・ヴォー、生クリーム、ビネガーなどの液体を加え、底にこびりついたうま味を溶け込ませることです。目的はもちろん、おいしいソースに転用すること!
●réduire
煮詰めることがréduire。réduire la sauce d’un tiersとあったら、ソースを1/3ほど煮詰めること。ソースを作るときなど、ほとんど水分がなくなるまでワインやビネガーを煮詰めることもあり、そんなときはréduire à secという。