暗闇の中の討論番組。

 France 2の午前11時のニュースでは、ニュースキャスターの話を手話の人が伝える。耳の不自由な人がトークショーのゲストに呼ばれると、話の経過を伝える手話が画面に映る。とはいえ、同じように受信料を払っている耳の不自由な人を考慮に入れたテレビ番組はまだまだ少ない。では、目の見えない人のためのテレビ番組というのは可能なのだろうか。音声という手段を使って工夫の余地がありそうな気もするのだが…。
 1月よりLa 5e局で始まった”Le gout du noir” は不思議な番組だ。心理学者のジェラール・ミレールと目の見えないジャーナリスト、ソフィー・マシューの司会で、二人のゲストが討論を交わすのだが、何しろ完全な真っ暗闇の中、食事をしながらというのがこの番組のキーポイントだ。その様子が赤外線カメラで撮影される。歌手のフランソワーズ・アルディ、作家のフィリップ・ソレルス、コメディアンのデュードネなどの有名人が、真っ暗闇のなかでパニックに陥ったり、逆にふだんよりくつろいで多弁になったり、ワインのグラスが見つからなくていらついたり、ワインの瓶を倒したり、手づかみで食べざるをえなくなってまごついたり、逆に喜んだり…。
 女優のクロチルド・クローが、絶対的な美なんて存在しない、やっぱり内面の美しさ、と暗闇の中で力説したりすると、目の見えない人たちにとっての美とはなんだろう、と僕らも考えてしまう。
 この番組は目の見えない人のためとはいえないが、この強制的な盲目状態の中での有名人たちの会話をどう思うか、目の見えない人たちに聞いてみたい。(真)


司会のミレールさん。暗闇では、ついつい目を閉じて話をすることになる。

*Le gout du noir : La 5e 日曜17h35