大好きなサーカスを学んでいます。

パリ郊外、ナンテール大学に隣接するサーカス学校「Les Noctambules」が、伊藤杏奈さんが現在通う学校だ。学校では、アクロバットを始め、ロープや1 輪車、空中ブランコやジャグリングなどサーカスの技の習得に励んでいる。
 杏奈さんがこうしたサーカスの技に出会ったのは小学校2、3年の頃。学校にやってきた大道芸の公演を観るなり「これはすごいぞ」と、すっかり魅せられ自分でもやりたくなった。1輪車の練習を一所懸命にやったのもこの頃だ。小学校4年生の時には、外国のサーカス団の公演を観てさらに決心を固める。小学校の卒業スピーチでも、「将来は絶対に国内か海外のサーカス団でサーカスをやりたいです」と明言したほど。
 中学の卒業を目の前にし、サーカスには惹かれるものの、とっかかりがないまま、体育系の学校に進学するか、福祉系の道に進むしかないと考えていた時、転機が訪れた。小さい時からの夢を知っている彼女の母親が国内にある4 つのサーカスに関する資料を集めていてくれたのだ。それぞれのサーカスを見学し、その中で最も家庭的な温かみのある「ポップサーカス」に入団した。「ポップサーカス」は期待通りのサーカスで、充実した1年を送ることができた。そして、昨年の12月、自分に合ったサーカスの演目を探しにパリにやってきた。
 「日本のサーカスは、アメリカのサーカスの影響かショー的要素が強いような気がします。ハイ、1輪車終わり、次。ブランコ。ハイ、次、というふうに演目がブツ切れの印象があるんですね。それに比べるとヨーロッパのはもっと芸術的。演目ごとの切れ目がなくて “流れ” があるんです。それが好き」という杏奈さん。毎日の授業が楽しくて楽しくて時間の経過も忘れるほどだが、3カ月の観光ヴィザでの滞在なので帰国の日も迫っている。どうやって再びこの学校に戻ってくるかがこれからの課題。と、現在ちょっと複雑な心境だ。
 とはいえ、人生まだまだ始まったばかりの17歳。限りない可能性を武器に、ファンタジックな舞台を早く私たちに見せてください。頑張れ、杏奈さん。(里)