Truites roties
パリの立派な魚屋では生けすでマスが泳いでいるし、ふつうの魚屋でも一年中簡単にマスが手にはいる。今回は、ベーコン風味のキャベツやソースを添えて、川魚特有の香りを満喫したい。
300グラムくらいのマスを4人分として4 尾買ってきて、三枚におろす。まず、あとでソースの素になるフュメ作り。頭と中骨を丁寧に洗ってから大きく切り分ける。鍋にバター少々をとり、頭、中骨、みじんに切ったエシャロット2個、ニンジン1本を数分炒める。ここで白ワインコップ1杯、水コップ2杯、レモン半個分の絞り汁を注ぎ、ブーケ・ガルニを加え、20 分ほどグツグツ煮てから漉します。
キャベツは葉がみずみずしいものを使いましょう。半個だけ固いところをのぞいてせん切り。フライパンにバターを大サジ2杯とり、みじん切りにした玉ネギ半個、サイの目に切ったベーコン50グラムを数分炒める。ここでキャベツを加え、しんなりするまで10分ほど炒めたら、軽く塩、コショウ。
オーブンを目盛り5 (180度) にして点火する。マスのおろし身に塩、コショウし、皮の方だけをフライパンで焼いて軽く色を付けます。オーブン皿にキャベツを敷き、マスを皮の方を上にして並べ、熱くなっているオーブンへ。7分も焼けば出来上がりだ。
この間にソースを準備。鍋にバター少々をとり、やはりサイの目のベーコン50グラムを炒め、先ほどのフュメを200cc注ぐ。半分くらいになるまで煮詰めたら生クリームを200cc加え、さらに半分になるまで煮詰め、塩とコショウで味を調える。さらにコクがほしい人は、小さく切った冷たいバター大サジ2杯ほどを加えて混ぜ合わせるといい。ソース入れに入れて、マスに添えることにしましょう。こんなご馳走には、サンセールやブルゴーニュの白を抜きたい。(真)
●台所のフランス語|chou
chouといったらキャベツの総称だけれど、八百屋には大きく分けて3種類のキャベツが並んでいる。chou cabus は葉の縮れていない白っぽいキャベツで日本のものに近い。chou de Milanはちりめんキャベツで、その緑の葉は柔らかく味もいい。chou rougeは紫キャベツ。フランス人はキャベツの匂いが苦手で、一度下煮してから使うことが多い。
芽キャベツはイタリア原産だが、ベルギー人の好物なのでchou de Bruxellesと呼ばれる。カリフラワーは花のところを食べるのでchou fleur。白菜はchou chinois。最近は中華系の食品店だけでなく、ふつうの八百屋さんでも見かけることがある。pâte à chouは、形が似ている以外にキャベツとは関係なく、シュークリームchou à la crême用などのシュー生地のことです。
●truites au bleu マス青造り
近所の魚屋に生けすがありマスが気持ちよさそうに泳いでいるなら、青造りが一番だ。ハラワタは取り出すが、表面のヌルヌルはそのまま。これが青みを帯びるもとになります。4、5尾分として、水2リットル+ワインビネガー半カップ+塩大サジ2杯+コショウ少々+ローリエの葉1枚+タイム1枝を底広の鍋にとって、火にかける。沸騰しかけたら、マスを加える。静かに沸騰し続けるような火加減で、7、8分ででき上がり。水気を切るように取り出してお皿に。溶かしバターをたっぷりとかけ、パセリを散らし、レモンを添え、付け合わせはゆでジャガ。
●fumet de poisson フュメ
フュメは今回の料理に使ったように濃いめのダシで、淡泊な味の魚を煮たり、生クリームやバターを加えてソースにしたり、ニンニクなどの風味も足してスープにしたりする。特にカレイ・ヒラメ類のアラにはゼラチン質が多いので、コクのあるフュメができます。はいだ皮も忘れずに加えましょう。なおフュメが残ったら冷蔵庫で大切に保存。数日持ちます。
●court-bouillon クール・ブイヨン
フランスの魚介料理にはクール・ブイヨンという薄いダシでゆでてから、各種ソースを添えて食べるものが多い。このダシの材料は魚次第。いろいろ試して、お得意のクール・ブイヨンを見つけたい。グツグツと30分以上は沸騰させて材料の風味を引き出し、一度冷ましてから魚を加えてゆでるというのが大切だ。タラ科の魚にはあっさりしたブイヨンがいい。たとえば、水2l +ビネガー1カップ+輪切りのニンジン1本+玉ネギ半個+パセリ+丁字2本+塩+コショウ。
サケや海マスなら白ワイン風味にする。水2l +白ワイン半本~1本+ニンジン
1本+玉ネギ半個+ブーケ・ガルニ+塩+コショウ。匂いの強い川魚には白ワインのかわりに赤ワインを加えよう。
ヒラメ、カレイ類には柔らかな風味が合うから、水2l+牛乳1リットル+輪切りにしたレモン1個+塩+コショウ。