Daube de veau aux olives vertes
子牛の肉は高くてなかなか手が出ない。 フライやノルマンディー風がおいしいエスカロップなどはキロ100Fもするので、我が家では七面鳥のエスカロップで代用することが多い。幸いtendronと呼ばれる脂身が混じったアバラ肉の部分は、まだキロ30F~40Fで気楽に買えます。タイムの香りをきかせて、緑色のオリーブもたっぷり加え、このアバラ肉をとろけそうになるまで煮込んでみよう。こういう煮込み料理は煮なおした方がおいしいくらいなので、少人数の家庭でも1キロ半は買ってくる。肉屋さんに頼んで食べやすい大きさにブツ切りにしてもらいます。
ココットに、今回は地中海風なのでオリーブ油を多めにとって強火にかける。油が熱くなったらきれいに色がつくように肉を炒めていく。一度に入れると油の温度が下がって水気が出てしまうので、3回くらいに分けてやるといい。その度に油を少々足して熱くなるのを待つ。炒め上がったらしっかりと塩、コショウ。
玉ネギ3個をふたつに割って薄くせん切りにし、肉を取り出したあとのココットに加える。火は今度は中火。玉ネギが柔らかく透明になったら、白ワイン半リットルを注ぐ。さらに缶詰の水煮トマトのトマトだけを400グラム加える。一緒に入っている煮汁も加えると水っぽくなるからだ。木のヘラでトマトを丁寧につぶしたい。2、3分グツグツさせて、ワインのアルコール気が飛んだという頃合に、肉を戻す。たっぷりのタイムにローリエの葉数枚を結わえたブーケ・ガルニを加え、フタをして弱火でトロトロと煮ていく。肉を煮ている間に緑のオリーブ (種を抜いてあるものを300グラム) を準備する、といっても熱湯の中で2分ほど沸騰させて余分な塩気をとるだけ。
よくソースが絡むように時々肉を返しながら1時間半から2時間も煮ると、肉は骨から離れそうなほどに柔らかくなっている。ここでオリーブを加えて味を調え、ごく弱火でさらに30分煮ればできあがり。これを冷ましてから冷蔵庫に入れ、翌日取り出せば、脂が表面に固まっている。これを取り除いてから、弱火で温め直せば、さらにうまい。もうすぐのボージョレ・ヌーヴォーでどうぞ。 (実)
●Tomates entières pelées au jus
パスタ用のトマトソースを作りたいが、11月にもなると、ソース作りに最適な紡錘形のオリヴェットも姿を消してしまい、味の薄いオランダ産の温室トマトしか見つからなかったりする。そんなときは、トマト (ほとんどがオリヴェット) の皮をむいて煮ただけの缶詰を買うのが正解だ。800グラム入りと、400グラム入りの2種類が並んでいるが、トマトソースを作るのなら大きい方の缶をふたつ買いましょう。
まず玉ネギ1個、ニンジン1本をできるだけ細かなみじん切りにする。好みでセロリ1茎を加えてもいい。フライパンにたっぷりとオリーブ油をとって弱火で炒めていく。フタをし、時々木のヘラでかき混ぜながらじっくりと25分くらいはかけたい。ここで缶詰のトマトを煮汁ごと2缶、つぶしたニンニク2片、ブーケ・ガルニ、あったらオレガノ少々も入れ、塩、コショウ。酸味をおさえるために砂糖も小サジ2杯ほど加える。沸騰したらごく弱火に落とし、フタをして全体の量が半分くらいになって、トロリとするまで煮込んでいく。最後にもう一度、塩、コショウで味を調えれば、誰にも負けないトマトソース! あとはパスタのゆで上がりを待つだけ。
さらに味をよくしたいのなら、トマトを入れるときに、トリガラのスープや白ワインを加えたり、ハムのみじん切りを入れたりすればいい。
●noix
八百屋の店頭にとりたてのクルミが並んでいる。ペリゴール地方とドーフィネ地方が主な産地で、値段はキロ15~20フランくらいだ。ザルにでも入れて、クルミ割りともども置いておくと、秋から冬にかけての食卓が楽しくなる。ビールやウイスキーのおつまみによし、アンディーヴのサラダに入れれば味のアクセントになるし、コンテやルブロション、山羊チーズなどを食べながらかじるのもうまい。脂質やタンパク質に富み、ベジタリアンには欠かせない食品になっている。