Pote aux saucisses de Moliere
ブルターニュ地方では浜に打ち上げられるgoémonと呼ばれる海草が収穫されていて、肥料や化粧品の原料になっている。この海草で燻したソーセージは、ルコンケという港町の沖合いに浮かぶモレーヌ島の名産だ。 このソーセージを売っている肉屋さんに食べ方を聞いてみたら、ゆっくり煮るのが一番だという。ソシス・ド・モレーヌをパリで見つけるのはちょっと無理なので、簡単に手に入るモルトーMorteauやモンベリアールMontbeliard産の燻製ソーセージを使ってみよう。僕は、燻製ソーセージ一種類だけではさびしいし味も単調になるので、燻製されていないトゥールーズ産のソーセージやシポラタと呼ばれる細いソーセージなどと半々にする。タラゴンなどのハーブが入ったソーセージもおすすめだ。 大きな鍋に皮をむいた丸ごとのジャガイモ、大きく切り分けたニンジン、ソーセージを加え、全体がかぶるように水を張る。ソーセージをフォークで突っついて脂が抜けやすいようにする人もいるが、こわれやすくなるので、僕はそのままです。皮ごと押しつぶしたニンニクを2、3片、ブーケ・ガルニ (好みでセロリを一茎加えてもいい) を入れ、軽く塩をしてコショウを挽き入れ中火にかける。僕は煮汁をスープとしても味わいたいので、トリのスープの素を一個加えることにしている。沸騰したら弱火に落としてフタをしコトコトと煮ていくだけだ。ジャガイモ、ニンジンが柔らかくなったらでき上がり、という気楽な完全食です。熱々をフーフーいいながら、目から涙が出そうに辛いディジョン産のマスタードをたっぷりつけて味わいたい。ワインはあまり値の張らないコット・デュ・ローヌの赤でいいでしょう。(実)
●saucisse de Morteau, de Montbeliard
どちらもフランシュ・コンテ地方で作られている燻製ソーセージ。前者は、小さな木片で結わえられていて一本400グラム近くある。控えめに燻されていて、優しい味わい。それに比べ後者は、一本が一人前で180グラムぐらい。燻し方はかなりきつい。
●pommes de terre gtatinées campagnardes
上欄のソーセージ煮込みのスープとソーセージが残っていたら、田舎風ジャガイモのグラタンを作りましょう。まずオーブンの目盛りを6 (約210度)にして点火。ジャガイモを4人分なら800グラム、皮をむいて薄く輪切り。これをオーブン用の皿に広げ、この上から煮込みのスープをひたひたになるまで加える。足りないようだったら水を足しましょう。やはり薄く輪切りにしたソーセージの残りと玉ネギ少々を散らし、コショウを挽きかけて熱くなっているオーブンに入れる。スープがぐつぐつと沸騰してきたら取り出して、おろしたグリュイエールチーズを一面に振りかけてオーブンに戻す。チーズにきれいな焼き色がついたらでき上がりです。輪切りにしたジャガイモを牛乳や生クリームに浸して焼き上げたドーフィネ風グラタンとはひと味違ったおいしさだ。オムレツなどに添えれば、立派な一食になるでしょう。
●台所のフランス語|en chemise
本来は「シャツを着た」という意味だけれど、gousse d’ail en chemiseと出てきたら、今回の料理のニンニクのように「皮付きのまま」という意味になる。こうするとニンニクの風味が柔らかくつくし、あとで取り出しやすい。ジャガイモも味が逃げないようにen chemiseの形でゆでることが多い。ジャガイモの場合は、en robe des champs (野良着を着た) という面白い表現もある。またハムを巻いてハトなどをローストするときやトリュフを紙で包んで焼いたりするときもen chemiseという。