どうも近ごろ停滞気味の世界音楽シーン、そしてフランスも…。この停滞期を乗り切るには「ガツン」とパンチのあるようなものを探して冒険するよりは、「ドローン」としながらも「音楽は流れ続ける」ということを感じさせてくれるものをこの二月、春にむけて聴くのがよいでしょう。
で、まずはDolly / Dolly (East West France)。倦怠の中で唸るギターに、同じく倦怠感のわきでる女性ボーカル。さらに歌われるのは世紀末的倦怠感というと聴く気がなくなる? 否。この倦怠は沈黙でなく音楽なのだから。
お次ぎはYann Tiersen / La Valse des Monstres (Sony)。フランス音楽が世界に誇れるのは、アコーデオンであるが、この音楽は、アンビエントミュージックであり伝統的、いわゆるミュゼット的ではないが「ポストモダン」。「怪物たちのワルツ」というタイトルはまたしても世紀末的?
Kim / Radio Dub (ML LABEL) はタイトルのDUBとは裏腹に、いわゆるテクノとかハウス系というよりは、おなじみKATERINE系の大西洋岸系インディー。軽快なギターと軽い男性ボーカルということ。先に紹介した2枚とは逆の開放感、ノスタルジックな開放感がある。
さいごにSpring / The Last Goodbye (Elephant)。日本でも一部の人にはお馴染みかもしれないが、Madrid経由のふれんちミュージック。ジャケットそのまま、トラットリア系。かわいらしい女性ボーカルが爽快なギターとパーカッションの上をふらふらという感じはこの停滞期を心地よく過ごさせてくれる。(岳)
(南)推薦、2月のシャンソン。★★★★ Juliette
ジュリエットの、神経を逆なでする嵐のような声が生理的に気に入らなかろうと、彼女の存在なしに今のシャンソンは語れない。ギルベールからピアフ、ソヴァージュ、バルバラのスタイルをすべて持つ天才歌手のオランピア劇場初出演は遅すぎたくらいだ。ピアノの弾き語りから、ブルース、ブギウギ、オペレッタ、何でもござれの変化に富んだステージ。アンチ・メディアの歌手では異例の一週間公演”Assassins sans couteaux”(同名のCDも発売中)が今から楽しみ。
9~14日(火~土 /20h30 。日/17h)
245F/195F/165F (FNAC他)
*Olympia : 28 bd des Capucines 9e
01 4742.2549
★★★ カフェ・コンセール「アイユール」の今月のプログラムは、男性歌手を中心になかなかの顔ぶれです。なかでも、往年の歌手フィリップ・クレイを思わせるシルエットを生かした長身クリストフ・ボンゾンの本格的なステージや、アコーデオンを弾きながら歌うジェラール・ブランシャールにジャック・オーローニュとグザヴィエ・ラクチュールのコミカルなデュオ、クルト・ワイルの曲も歌うローラン・ヴィエルにも期待。
Christophe Bonzom (2$9$16日)
Gerard Blanchard (3$4$5日)
Jacques HaurogneとXavier Lacouture (20$21日) Laurent Viel (23~28日)
食事/20h。開演/21h15。30F/50F/80F
*Ailleurs :13 rue Jean Beausire 4e
01 4459.8282
●デニス・マツエフ、パリ公演
昨年のチャイコフスキーコンクールの覇者デニス・マツエフは、久々の超大型ピアニストとして注目されている。彼のパリデビューを飾るコンサートの曲目は、ハイドンのソナタ52番やラフマニノフの絵画的練習曲、プロコフィエフのソナタ7番など。アンコールでは得意のジャズの即興が聴けるかもしれない。
12日/20h30 オヴニー読者に特別割引:
学生85F→50F、一般120F→100F、
家族160F×3→320F、160F×4→370F
問合わせ 01.4723.3352 (ヤマハ・河野まで)
*Salle Gaveau : 45 rue Boetie 8e
● エヴァン・パーカー+3
どこまでも即興に徹したサックス奏者の公演。
4日 / Instants Chavires
● ソニック・ユース
NYの前衛ロック4人組は、相変わらず僕らの心を腐蝕する。前座は「赤いハンマー」の一人ジャン=フランソワ・ポヴォロスのギターソロ。
8日 / La Mutualite