魚市場は他の市よりも時間帯が早い。トラックの荷下ろしが終わる02:00ころには活気立ってくる。卸商”Sushi
Maree”の責任者ゴンザルヴェスさんは夜10時に仕事開始だ。魚をパリのお寿司屋さんに卸して9年。それ以前も長年日系の会社で買い付けをやっていた。午前3時「100kgのマグロを切るよ」と教えてくれたので地下の冷蔵室に降りると、地中海産の大魚は頭を落とされ尾ヒレを落とされ、力強いゴンザルヴェスさんの包丁さばきのもと、10分ほどで解体されたのだった。04:30$日本レストランへの配達に出発。彼は配達先の鍵を持っていて、店の誰よりも早く厨房に入って注文の品を置き、鍵を閉める。品質、人間ともに厚く信頼されている。パリの板前さんたちがあまりランジスに来なくなったのも、こんな理由があるからみたいだ。
追憶
のレアール…。ランジス市場のメインストリートに並ぶ大きな建物のひとつに、昔のレアール市場の建物を形どった看板が付いています。他と同じ形式の”E5″ (地図◆)という棟番号の上に、大きく”QUARTIER SAINT-EUSTACHE”の文字。ランジスに中央市場が移ったあと、レアールにあった19世紀の壮麗な建物は、1971年に、ブッ壊わされてしまった。この看板はサントュスターシュ教会付近にいた人たちの、レアール時代へのオマージュでしょう。今のランジス市場は、バルタールの名建築とは比べようもないタダの箱です!
(稲)