女優エロディー・ブシェーズの最近のノリ具合には目を見張る。別に『天使が見た夢/La vie revee des anges』でカンヌ映画祭の女優賞を獲得したから言うのではなく、『Les Kidnappeurs』でも『J’aimerais pas crever un dimanche』でも、彼女が登場した途端に息を呑んだ。そんな彼女の、またしても主演作(ちらっと顔を出した作品も入れて、この1年で5本目)が『ルイーズ / Louise ( take 2 )』。
タイトル・ロールを演じている。『天使が見た夢』のイザみたいにルイーズもSDF(住所不定者)っぽく、パリの地下鉄構内をうろついている。哲学をもってSDFをしているみたいな、レミ(ロシュディー・ゼム)の目にとまる彼女。義侠心のあるルイーズは年老いた浮浪者の頼みで、彼の息子らしき少年、ギャビーを小学校から連れ出した。姉弟みたいに意気投合する二人。ルイーズの彼氏のヤヤ(ジェラルド・トマサン)とその不良仲間の仕事(スリ、万引き、ポン引き等)に加担し、追われ、逃げまくりしているうちに、何となくルイーズを中心にしたグループが形成され、やがて崩壊する…。ルイーズには、父親(ルー・カステル)のいるレミとの間に愛情も生まれる。彼女は何を求めて彷徨いつづけているのだろうか…?
まあ、こんな物語なのですが、この映画にはスタイルがある。画面のざらついたトーン、手持ちのカメラが主人公たちと同じスピードでパリの町を疾走する。まるで、登場人物たちの行き場を探しているエネルギーといっしょに呼吸しているようだ。監督はジーグフリードと名乗る謎の人物。音楽も作曲し、カメラも自分で回している。自分とそっくりな彼らを主人公にした映画を作ることで、彼も何かを探しつづけている…。