Merlan à la sauce aux champignons
メルランはタラ科の魚で、値段が安めのこともあって、これまでにも、揚げたり、ムニエルにしたり、包み焼きにしたりと紹介してきた。先日魚屋に出かけたら、「merlan de ligne(一本釣りのメルラン)」という飛び切り活きのいい1キロちょっとはありそうなものが何尾か並んでいる。これを逃す手はない。キロ20ユーロとちょっと高めだったが一尾買って、調理している間に身がくずれないように皮付きのまま、三枚におろしてもらった。
まずマッシュルーム入りのソースを用意する。マッシュルームは石づきを切りとってからさっと水洗いし、5ミリの厚さに切り分ける。長ネギは白いところだけを使い、4センチほどの長さに切り分けてからせん切りにする。鍋にバターをとって弱火にかけ、まず長ネギを炒める。柔らかくなったら白ワインを注ぎ、半分の量になるまで煮詰め、マッシュルームを加える。マッシュルームがしんなりしたらマスタードと生クリームを加え、混ぜ合わせる。少々煮詰めてとろりとなったら、レモンのしぼり汁、塩、コショウで味を調える。みじんに切ったパセリやシブレットを散らし、適当な器に入れ、冷めないように湯せんしておく。
テフロン加工のフライパンにバターと油を半々にとり、中強火にかける。メルランのおろし身二枚ををそれぞれ二つに切り分けて4枚にし、両面に塩、コショウをふって、熱くなっているフライパンに皮を下にして入れる。皮にきれいな焼き色がついたら、フライ返しなどを使って慎重にひっくり返す。身の厚さにもよるが、あと3、4分で火が通るだろう。さっそく各人の皿に盛りつけ、タイミングよく用意しておいたゆでたジャガイモ、ミニピーマンのローストなどを脇に置き、ソースを添える。淡白な味わいのメルランとまろやかなマッシュルームソースのとり合わせは絶妙!皮つきでないおろし身を使うときは、身がこわれないようにムニエルの方が無難。ワインはサンセールの白だったら拍手です。(真)
4人分:メルラン1キロちょっとのもの1尾(おろし身なら一人当たり150gを用意)、バター、油、塩、コショウ
ソース:マッシュルーム250g、長ネギ1本、白ワイン1カップ、液状生クリーム200cc、マスタード小さじ1杯、レモン半個分のしぼり汁、パセリ適量、塩、コショウ
Merlan
主にブルターニュやノルマンディーでとれるメルランはタラの一種で、真ダラなどよりは小型で、年中魚屋に並ぶ。やさしい味わいの白身だが、身がぽろぽろとこわれやすいのが欠点。ちり鍋には向いてないが、魚のスープにおろし身を入れると、煮くずれしてコクが出る。小さめのものは頭とはらわたをとってから、小麦粉をまぶして揚げるとうまい。クール・ブイヨンでゆでてからほぐし、オリーブ油で炒めた玉ネギと二ンニク、マッシュポテト、パセリのみじん切りと混ぜ合わせ、オーブンで焼けばメルランのブランダード。
Champignon de Paris
19世紀初めから地下鉄工事が始まるまで、パリの地下採石場跡で大量に栽培されていたのでchampignon de Parisと呼ばれるマッシュルーム。現在は腐葉土に菌を植えつけて栽培されたものがほとんどで、ポーランド産やオランダ産が多い(写真左/柄元に黒い腐葉土がついている)。白いものとロゼという薄い褐色のものがあるが味はほとんど同じ。傘が開いてなくコロコロッとしていて、柄 (足)が太いものを選びたい。パリ近郊モンテッソンなどの採石場跡で栽培されているものは、炒めても水気が出ず、ひと味ちがう(写真右/傘や柄元に砂がついている)。
Mini-poivrons rôtis
八百屋で、赤、オレンジ、黄色の小さなピーマンを売っている。ふつうのピーマンより値段は高めだが、ローストすると、肉料理にも魚料理にも合う、彩りもきれいな付け合わせになる。ピーマンを洗ったら、二つに切り分け、へたと種をとりのぞく。これを適当な大きさのオーブン皿に並べ、オリーブ油を振りかけ、塩、コショウし、180度で熱くなっているオーブンに入れる。30分くらいで軽く焼き色がついてきたらでき上がり。パセリを散らして食卓へ。皮も柔らかいのでそのままほおばると、ピーマンならではの香りと甘みが口中に広がる。