『Song for Madagascar』
今回紹介する6月21日公開の『Songs for Madagascar』は、とても小規模な映画なので公開もとても小規模(パリで1館とか)と予測されます。なので注意してないと見逃します。でも、とっても豊かな映画なので、ぜひ追っかけて観てくださいね。
マダガスカルを代表するミュージシャン(音楽に強くない筆者は知りませでしたが、多分ワールドミュージック・シーンで世界的に活躍する)6人が集まって、その名も、Madagascar All Stars というバンドを結成、彼らの創作活動を追ったのがこのドキュメンタリーです。
マダガスカルが何処にあるか知ってますか?インド洋の西の端、アフリカは東海岸、モザンビークの沖の方にあります。フランスの元植民地。島の面積は日本の1.5倍。この島にしか棲息しない生物が多くいることで有名。しかし国民の生活は貧しい。
映画は、彼らの生活風景の断片を映し、ミュージシャンそれぞれが語る自分史を挟み、奏でる楽器もおのおの独特で、6つの音楽の個性が出会い融合してゆく時間をたっぷりと見せてくれる。
経済的に貧しいことイコール不幸なことではけっしてないと、この映画を観ながら感じていました。マダガスカル・チターの奏者として有名な、ジャスティン・ワリーが仲間を故郷へ連れて行きます。そこでは、耕運機とかを持たない農民たちが、4人1組のチームでリズミカルにシャベルで畑を耕しています。その光景を目にした時、なんか懐かしい幸福感が胸をよぎりました。 「大地から恵みを受けて我々は生きている。我々はその大地にお返しをしなければならない」とワリーは言います。都市部に集まる人々の活気、海、川、山、そして伐採された森、マダガスカルの情景を「切り撮る」映像、そこに重なる Madagascar All Stars の音楽。映画力と音楽力の昇華は、Songs for Madagascar という題名そのままだ。監督はブラジル出身のセザール・パエス。(吉)