Bar mariné cuit au four

お昼に息子カップルが食べにくる。市場の魚屋に行ったら女主人が「ガスコーニュ湾でとれたスズキ、豊漁で高くないですよ!」。銀色に輝く大きなスズキがキロ20ユーロ。丸ごとオーブンで焼くことにして1本買い、魚屋にウロコとハラワタをとってもらった。家ではかってみたら、長さ46センチ、1キロちょっとあった。
魚が丸ごと入るオーブン皿にオリーブ油をとる。薄く輪切りにした玉ネギ、ローリエ、タイム、きざんだパセリを入れ、軽く混ぜ合わせる。その上に、身の厚い部分に斜に切れ込みを入れた魚を置く。マリナードがまんべんなく行きわたるように何度かひっくり返しながら、2時間おいておく。
オーブンの目盛りを200度に合わせて点火。魚の両面に塩、コショウする。マリナードの玉ネギやハーブを、焼いている間に焦げないように魚の下に入れ込む。オーブンが熱くなったらオーブン皿を入れる。焼いている間に、二度ほど刷毛を使ってマリナードを魚に塗りつけたいものだ。25分ほどで魚の皮に軽く焼き色がついてきたらオーブンからとり出し、そのまま食卓の真ん中に置いてとり分ける。皮をむくと、柔らかで繊細な風味の白身が湯気を立てながら現れる。付け合わせはゆでたジャガイモ。レモン、塩の華を添える。ワインは、香り高い白、シャブリにした。
アルミホイルやクッキングペーパーに包んでオーブンで焼く一品も見栄えがする。オーブンの目盛りを200度に合わせて点火。ホイル(またはクッキングペーパー)を余裕をもって用意して天板に置く。ホイルにオリーブ油を塗る。スズキのハラワタがあったところにローズマリー少々、薄切りにしたニンニク1片を詰め、ホイルの上にのせる。魚の両面に塩、コショウし、みじんに切ったパセリ適量、薄く輪切りにした玉ネギ、輪切りにしたレモン、薄切りにしたニンニク1片を魚の上に散らす。白ワインを注ぎ、ホイルをきっちりと閉じ、熱くなっているオーブンへ。15分から20分で焼き上がる。レモン、塩の華、オリーブ油を添える。(真)
4人分:1kg前後のスズキ1尾、玉ネギ1個、ローリエ2枚、タイム3枝、パセリ適量、オリーブ油大さじ8杯、塩、コショウ
包み焼き:1kgくらいのスズキ1尾、玉ネギ1個、レモン1個、ニンニク2片、白ワイン100cc、ローズマリー適量、パセリ適量、塩、コショウ

Bar
地中海沿岸地方では、性格がどう猛なのでloup(オオカミ)と呼ばれるスズキ。最近は、どちらかというと小型の養殖ものが魚屋に並び、風味は少々落ちるが、キロ15ユーロ前後と以前よりは安くなった。それに比べ天然ものは、たとえば大西洋沿岸なら40センチ以上と、捕獲できるスズキのサイズ規定があるので大きめで、キロ25ユーロ以上。一本釣りなら軽く30ユーロを超えるという高級魚だ。その締まった白身がフランス人にも愛されている。刺身にするときは天然ものにしたい。ひと味違う!

Fleur de sel
ブルターニュの大西洋沿岸あるいは南仏の地中海沿岸にある塩田で、表面にできる大きな結晶だけをかき集め、利用しやすい大きさにくだいたものが塩の華fleur de sel。通常の塩に比べ、マグネシウムやカルシウムなどのミネラル成分を多く含み、風味が豊かだ。というわけでわが家の食卓塩は塩の華。大きめの粒々なので、ときどき歯に当たったりするのもうれしい。最近はトリュフ入りなどというものもあるけれど、高価な上に、使用範囲も限られ、本来の塩のうまみもどこへやら。

Thym
地中海沿岸にあるガリーグgarrigueと呼ばれる日差しの強い灌木地帯を歩いていて立ちのぼってくる芳香は、野生のタイムのもの。タイム (タチジャコウソウ)は、フランス料理で、単独で、あるいはブーケ・ガルニに入ったりして、一番よく使われるハーブだろう。ポトフ、ブッフ・ブルギニョン、さまざまな肉の赤ワイン煮、今回のような魚のオーブン焼き、レンズ豆の煮込みやトマトソースなどに欠かせない。新鮮なものは、サラダやスクランブルエッグに素晴らしい香りをつけてくれる。
