マクロン大統領は6月14日、テレビ演説で、コロナ禍によるロックダウンの解除第3段階について語った。パリの飲食店の営業再開、経済復興、また、現在大きな話題となり、大統領の発言が待たれていた警察による人種差別と暴力などについても言及した。
・パリ(とその首都圏イル=ド=フランス地域圏)は「オレンジゾーン」だったが、6月15日から「緑ゾーン」とし、カフェ、レストラン通常営業再開を可能とした。22日からとされていた飲食店の通常営業再開が、早まる形となった。海外県マイヨットとギアナは、オレンジゾーンのまま。
・6月15日から欧州間の移動が可能に。
・7月1日から欧州外の国でもコロナ感染が制御されている国への渡航が可能に。
・6月22日から幼・小・中学校再開。全員通学(義務)とする。
・市町村議会議員選挙の第2回選は6月28日に行う。
・老人ホームや介護施設などでの面会も可能に。
●経済復興
・フランス政府はコロナ禍に際して企業支援、社会の脆弱者に対する手当など5000億ユーロを投入したが、その支出を補うための増税はしない。持続可能な強固な経済モデルを構築し「より働き、より生産する」ことが経済復興の解決策。
・今後予想される解雇を可能な限り抑えるよう、企業や労組と交渉をおこなう。新技術、デジタル、産業、農業分野への投資や、他国に流出した産業をフランスに呼び戻すことなどで雇用を創出し、他国への依存が少ない経済の機構を再構築する。
・今後は生産性と気候問題を両立させる経済をめざし、建物の熱効率を良くすることや、環境汚染の少ない交通などにシフトする環境産業を発展させるための支援を行い、この分野でも雇用を創出する。
・病院・医療面では、医療関係者の労働条件改善などは着手しているものの、投資により予防にも力を注ぐなど効率的なものに変えてゆく。高齢者、貧困者をより保護できるようにすること。若者の教育と雇用にも投資を行い、状況を改善させる。
・この経済復興は欧州との協力のもとにおこなう。ドイツとともに他の欧州加盟国に団結を呼びかけ。米中、世界の混乱のなかで「独立した強固な欧州」への道を7月の欧州理事会で提案する。
●警察による人種差別や暴力
人種、出自、宗教などに関係なく能力や努力によって公正に相応の学位や仕事を公正に得られるよう新しい提案をおこなうとした。奴隷制度に加担した歴史的人物の彫刻を撤去するなどの行為も見られるが、それらは記憶として残すこと、コミュニティー至上主義、歴史の修正などは許されないとした。
暴力や差別が批判の的となっている警察・憲兵に対しては、フランスの安全、秩序を保つのに必要であり、感謝の意を表した。
●権力と責任の配分
国の機構の変革を行う。コロナ禍においては地方自治体、企業や市民団体などの現場がイニシアティブをとり活動を行った。パリが常に政治的決断を下すのではなく行動の自由と責任を与える。