ボルヌ首相が率いる新内閣が5月20日に発表された。マクロン大統領再選からボルヌ首相任命まで3週間、さらに組閣まで5日間と、かなりの時間を要した組閣だ。
最も注目された人事は、教育相に任命されたパプ・エンディアエ氏。国立移民歴史博物館館長で米国黒人史とマイノリティを専門とする歴史家。前任のブランケール氏がヴィダル前高等教育相とともに、人種、民族、ジェンダー、階級、セクシュアリティなどをテーマとする社会学研究者を“イスラモ・ゴシスト(イスラム主義擁護の左翼)”と呼び、共和国の原則を脅かしているという持論の持ち主だっただけに、180℃転換の人事となる。極右のルペン氏は「先住民主義の同氏の任命はわが国の解体につながる」と発言。左派連合のメランション氏はこの任命は「勇断」と称賛した。
マクロン大統領が2期目で力を入れるとした環境保護だが、エコロジー転換・国土連帯相にアメリー・ド・モンシャラン氏任命には環境保護派のEELVや服従しないフランス党(LFI)からの批判が続出した。同氏は銀行・経済畑で第一次マクロン政権では欧州問題担当相と公務員制度改革相を経験した人物であり、環境分野では知識や経験が欠けるきらいがある。それとは別にエネルギー転換相が設けられ、アニエス・パニエ=リュナシェが就任。
要となる閣僚は留任や、前内閣の閣僚経験者が多く、野党からは前内閣の焼き直しという批判もある。首相も入れて女性、男性14人ずつの同数だ。
【閣僚・閣外相リスト】
◎留任 〇前内閣からの配置換え ☆政治家経験のない新顔 #政治家経験のある新顔
◎経済・財務・産業主権・デジタル相:ブリュノ・ルーメル
◎内務相:ジェラール・ダルマナン
#外相・欧州相:カトリーヌ・コロナ
◎法務相:エリック・デュポン=モレティ
〇エコロジー転換・国土連帯相:アメリー・ド・モンシャラン(←公務員制度改革相
☆教育・若者相:パプ・エンディアエ
〇軍事相:セバスティアン・ルコルニュ(←海外領土相)
〇保健・予防相:ブリジット・ブルギニヨン(←自立担当相)
〇労働・完全雇用・社会復帰相:オリヴィエ・デュソップ(←会計相)
#連帯・自立・障害者相:ダミアン・アバッド
☆高等教育・研究相:シルヴィー・ルタイヨ
〇農業・食料主権相:マルク・フェスノー(←国会対策相)
#公務員改革相:スタニスラス・ゲリニ
#海外領土相:ヤエル・ブローン=ピヴェ
☆文化相:リマ・アブドゥル=マラック
〇エネルギー転換相:アニエス・パニエ=リュナシェ(←産業担当相)
☆スポーツ・五輪相:アメリー・ウデア=カステラ
〇国会対策相:オリヴィエ・ヴェラン(←保健相)
☆男女平等・多様性・機会均等担当相:イザベル・ローム
〇会計担当相:ガブリエル・アタル(←報道官)
#地方公共団体担当相:クリストフ・ベシュ
〇貿易・誘致担当相:フランク・リステール(←文化相、貿易担当相)
◎欧州問題担当相:クレマン・ボーヌ
〇報道官:オリヴィア・グレゴワール(←社会責任連帯経済担当相)
#海洋担当相:ジュスティーヌ・ブナン
☆児童担当相:シャルロット・コベル
#開発・仏語圏・外国提携担当相:クリズラ・ザシャロプル