みんな充実の移住生活|移住者体験談
パリの花屋さんHanamiがボルドー郊外に移るまで。
ダヴィッド・リガルさん
パリ15区、桜の花びらのロゴが目印の花屋、Hanami。昨年末、お得意さんに惜しまれつつ閉店し、ボルドー郊外に移転することに。引っ越しや新店舗準備に追われ、気がつけばボルドー在住9カ月目になったダヴィッドさんの毎日は、慌ただしく過ぎてゆく。
パートナーのファブリスさんと「お互い退職したらパリを離れよう」と漠然と話し合っていた。けれど、パリのお店経営のことで頭がいっぱいのダヴィッドさんにとっては、まだ遠い将来の話だった。それが昨年、ファブリスさんの経済解雇をきっかけに、急に現実に。
パリ在住15年のダヴィッドさんと、25年のファブリスさん。人生の次のステップを踏みたく、パリを離れることに。「僕もファブリスもフランス南西部出身。お互いの家族が近く、気候が良く、花屋経営のために規模が大き目な地方都市に移ろう」と。ボルドーとリヨンの間で迷い、最終的に、当時高速TGV開通で盛り上がっていたボルドーに軍配があがった。
ちょうどダヴィッドさんたちが移住した頃、地元の人たちの 「アンチ・パリジャン」意識が話題になっていたが、出会う地元の人たちはとても親切で、店舗オープンにとても協力的。当初お店を持つ予定だった中心地の旧市街ではなく、郊外のサン・メダール・アン・ジャル地区、お客さんが車で簡単にアクセスできる場所に店を構えることに急きょ変更したのも、地元の人たちのアドバイスのおかげだ。
お店を 「Hanami」と命名するほど、ダヴィッドさんもファブリスさんも日本が大好き。新しい店は、日本に何度も足を運び自らの目でセレクトした花器・陶芸品や、大好きなお地蔵さんの置物、日本茶なども販売する、新しいコンセプトの花屋になるそうだ。Hanami Bordeaux、4月オープンに向け、着々と準備が整っている。
www.hanamifleurs.fr/
メッスは、パリのちょっと遠い郊外のようなもの。
トマ・ノメーさん
2016年春、トマさんは妻カミーユさんと、12年暮らしたパリを離れ、 ドイツとリュクサンブールと国境を接するモゼール県メッスに引っ越した。
同県出身の彼にとってはUターン。一方、カミーユさんはヴェルサイユ生まれで、パリ首都圏外に暮らしたことはなかった。彼女はパリ近郊の会社でマーケティングの仕事を続けている。移住について上司と1年ほど前もって話し合い、週に2、3日はパリ近郊に出勤、残りは在宅勤務で続けることに。まだどちらに住んでいるかわからないような感覚だという。メッスーパリ間は320km、電車で1時間半前後、「パリのちょっと遠い郊外のようなもの」 とトマさん。
トマさんはアラン・デュカス料理学校で外国とのパートナーシップ提携の仕事をしつつ、市民団体で活動をしていた。今はメッスの近くで協会を立ち上げ、カフェ・レストランFauveを運営。会員は、そこで食べるだけではなく、地域で生産される食材を使ったレストランの料理を作るのに参加する。お金をかけずにできる、環境を考えた、健康的な料理の教室にも参加できる。周辺地域の会員が盛り上げるレストランは、家具も地元の職人が作ったものを使う。また、食育の授業なども学校で行う。
商店の営業時間が短いし、日曜日はみんな休みなので、週末食べるものを蓄えておかなければいけないのがパリと違う。でも徒歩移動が多くなったこと、住まいが広くなったことなどにも満足している。
www.associationfauve.org/cafe-fauve/