【展覧会】Evi Keller Matière-Lumière

数年前、パリのギャラリー・ジャンヌ・ビュシェ・ジャジェールで初めてエヴィ・ケラーの作品を見た時の衝撃は忘れられない。透けて見えるような薄い素材の上に見たこともない抽象世界が広がっていた。素材がリサイクルしたプラスチックフィルムと聞いて、工業社会が産んだ、世界中に有り余るほどある凡庸な素材から究極の美が生まれたことに、さらに衝撃を受けた。
ケラーは1968年ドイツに生まれ、ミュンヘン大学で美術史を、ミュンヘン写真アカデミーで写真とグラフィックデザインを学んだ。現在はパリを拠点に活動している。
カイユボット邸での展覧会には青い作品群と茶色の作品群が展示されている。青い抽象作品には、地中の鉱物、水のほとばしり、水の流れ、大気、蒸気、植物、動物などが見える。刻印された化石のような形もある。木々の枝が空に向かっていき、空そのものになるように見える作品もある。解釈は見る人の自由だ。ケラーは、制作する前はどんな作品になるかわからず、「作品の意味は鑑賞者と作品が出会った時にわかる。制作時には、意味もコンセプトもない」と言っている。ここ20年間の作品の題名は全て 「マチエールと光」。題名によって作品のイメージが固定されないようにしたのかもしれない。
茶色の作品群も抽象作品なのだが、木立と太陽と水を描いた風景画のように見える。光を浴びて反射する水面、水に移る木立、空にある湖・・・夜明けのようでもあり日没のようでもある。ヴィクトル・ユゴーとターナーが現代にいたら、こんな作品を創ったかもしれない。
カイユボット邸の敷地内ではロシア人美術家、ボリス・ザボロフの小回顧展も開催中。(羽) 9/14まで

Maison Caillebotte
8 rue de Concy 91330 Yerres
www.maisoncaillebotte.fr
Paris Gare de LyonからRER D 線Melun行きでYerres下車 (20分)。徒歩7分、または駅前からバス4119か4153でCEC下車。
火〜日14h-18h30。12€/学生8€/ナヴィゴ割引10€。

Maison Caillebotte
Adresse : 8 rue de Concy, 91330 Yerres