コロナ禍で実施が危ぶまれた地域圏議会選挙が、通常3月のところを6月20、27日にずらして実施される。候補リストも出そろい、5月31日から選挙戦がスタート。3年毎の半数改選だった県議会議員選挙も今回から6年任期の全議員改選となり、地域圏選挙と同時に行われる。
地域圏議会選挙は比例代表制の2回投票で、本土の12の地域圏、コルシカおよび海外の計17の行政区で行なわれる(任期6年)。第1回投票で得票率10%以上のリストが決戦投票に進むことができる。トップのリストが4分の1の議席を得、残りは得票率によりトップリストも含む各リストに配分される。2015年の法改正で、地域圏の権限は強まり、とりわけ経済振興、運輸、教育分野の政策決定権を持つ。
本土12地域圏のうち7つは右派が握っており、左派が残り5つを守るには左派諸党の結集が必要。与党の共和国前進党(LREM)にとっては、1年後の大統領選の試金石の意味合いも。極右の国民連合(RN)は地域圏政は一つも握っていないが、前回選挙では社会党を上回る計358の議席を獲得し、オー・ド・フランス、プロヴァンス=アルプ=コートダジュール(PACA)では4分の1の議席を占める。世論調査では全国的に共和党(24%)に次ぐ22%の得票率が予想され、LREMの15%を上回っている。
地方の選挙地盤が弱いLREMは地域圏政を一つも掌握できないだろうが、共和党とRMの勝利を少しでも食い止めようと、15人の閣僚を投入する。オー・ド・フランスでは世論調査で次期大統領選候補のベルトラン氏率いる共和党35%とRN32%が拮抗しているが、ペトラシェヴスキ退職者担当相が率いるLREMリスト(同10%)にダルマナン内相、デュポン=モレティ法相ら計5人の閣僚を投入。右派が掌握するイル・ド・フランス(パリ首都圏)でもシアッパ市民権担当相ら4人の閣僚を投じる。PACAでは、トップが予想されるRNを食い止めるため、共和党リストに合流することになった。共和党内では反対意見もあり危うい共闘だが、そうでもしないとRNの勝利を阻止できないからだ。
世論調査では、来年の大統領選の決選投票で現職マクロン氏と極右のルペン氏の対決が予想され、ルペン氏が42%の得票率という数字もある。軍人の憂国寄稿文がメディアに載ったり、極右思想を喧伝するメディアや番組が視聴率を上げるなど、極右・右派の勢いが感じられる今、地方選とはいえ6月の地域圏議会・県議会選挙は国政の行方を占う重要な選挙になりそうだ。(し)